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リフォーム助成で活性化

ちば民報 2013.1.20

松岡守雄書記長と桒原厚書記次長の写真

県内における住宅リフォーム助成制度の現状と今後の展望について、制度の拡充に取り組んでいる千葉土建一般労働組合(千葉土建)の本部を訪ね、松岡守雄書記長と桒原厚書記次長にうかがいました。

地域経済に貢献

住宅リフォーム助成制度は、地域住民が住宅のリフォームを地元企業に発注した場合、その経費の一部を自治体が助成するものです。これにより、住宅の改善を容易にすると共に、中小零細業者の振興を図るもので、いま全国の自治体に広がっています。

千葉県では2010年4月からいすみ市が先鞭をつけ、いま導入自治体は、全54自治体のうち21です。これからほぼ1年遅れで7自治体に、さらに今年4月から一気に21自治体に広がりました。助成額は自治体で多少違いがありますが、多くの所で工事費の10%、上限20万円となっています。

県内に広がるきっかけを作ったいすみ市の大田洋市長は、「この政策の大きな柱の一つは地場産業を守り育てることであり、千葉土建のみなさんと懇談する中で住宅リフォーム助成制度という形になった」と言っています。そして「20万円の補助金(年間予算2000万円)が大きな地域経済への波及効果を生み、4億5千万円のお金が地元で動いています」とこの制度の経済効果の大きいことを述べています。

これについて桒原書記次長は、「制度創設後で工事高4、5倍以上、地域全体の経済効果は約11倍から33倍となっています」といい、さらに松岡書記長は、「家をきれいにすればテレビなど電気製品や家具なども新しくしたくなるでしょ。カーペットやカーテンも替えたくなるのが人情というものです」と船橋市の試算による数字などで語りました。

使いよい制度に

住宅に関わる助成制度にはこのリフォーム助成のほか、耐震改修、高齢者住宅対策、介護保険住宅改修などたくさんあります。耐震改修助成制度は2012年度から54自治体全てにできました。しかし、そのうち耐震改修工事自体に助成するのはまだ半分の自治体で、あとは8~10万円ぐらいかかる耐震診断にのみ5~6万円補助するにとどまっているとのことです。

「この耐震改修助成制度は国の耐震改修促進法がもとになっています。県の耐震改修促進計画の中でも2015年までには90%の耐震化率を達成するとしています。しかしこの制度自体1981年に建築基準法が大きく改正される以前の建物に対してのものなのです。81年以降の家でも危ないのはあるのに対象外なのです。それに耐震化工事をやるにあたっては、震度6で家が倒れないという評点1・0まで基準を高めないと補助が出ない。ですから高齢者世帯などで、お金が無くて一部屋だけシェルター的に使うため、筋交い2本入れて改修したいと言っても助成が出ないのです」と、桒原書記次長は制度の限界と使い勝手の悪さを指摘します。

こんなときリフォーム助成制度は、評点1・0に満たない一部屋だけの小規模な耐震改修工事にも、81年以降の対象外の家の耐震化工事にも使えます。これでバリアフリーをやる人もいるし、何にでも使えるオールマイティなのがリフォーム助成制度なのです。「耐震改修助成ももっと使い勝手をよくしてもらいたい。使い勝手の良さという点でいうと、最も進んでいるのがいすみ市のリフォーム助成です。門、門扉、塀や柵の改修など住宅敷地にある外構物でも家にこだわらず何にでも使える。そうすると地域のブロック工事業者などにも広く仕事が回る。地域経済だけでなく街並もきれいになるという効果もあります」と松岡書記長。地域経済活性化の観点からいっても使う住民の目線からいっても、あまり条件や制約をつけない方がいいと言います。

住宅に関わるいろいろな助成制度は、それぞれ条件が自治体によって違いますが、利用する側から見て使い勝手の悪い所がまだまだあるようです。

住民と連携して

今後の取り組みの方向について聞きました。桒原書記次長は「県下54全自治体にリフォーム助成制度を作ること。それから県レベルでもっているのは未だ4県のみです。腰が重い千葉県に実施をせまっていきたい」といいます。松岡書記長は「県は検討すると言っていたが、リフォームに関する宣伝、啓発はするが、お金は出さないという態度です。知事選では制度に前向きな知事を応援したい」。そして「この制度は国の一括交付金事業を利用している場合が多いので時限的です。あと2年後ぐらいを展望して、国に対して交付金事業を続けて欲しいと要求しています。地域経済に実際効果があるということは、これまで導入してきた自治体では見えてきているので、地域経済を活性化するという意味でリフォーム助成を続けて欲しい」と語ります。

松岡書記長は、「そのためには地域で住民のみなさんと、共通の要求での運動づくりをやっていきたい。四街道市では、地域の民主運動を支えてこられた人たちが住民の署名を集めるなどして、土建支部の要求を後押ししてくれて実現できました。これがいい典型です」と、これまでやや弱かった住民との連携の必要性を強調しました。

桒原書記次長も「我々の組織は、企業別、職場別でなく欧米の組合のように産業横断的で、しかも居住地で組織しています。組合員といっても地域の町内会の役員をやっていたり消防団をやっていたり、ほんとに一人ひとりが地域につながっている。だからそういう運動はやる気なれば十分可能です」といいます。

    ◇

17年前阪神淡路大震災で、つぶれた家から10万人を助け出したのは、自衛隊員でも消防士でもなく、バールやのこぎりなどを持っていたり、重い物を動かすコツをわきまえていたりする近所の職人さんたちだったそうです。

千葉土建のみなさんは、日頃から職人自らの権利を守るとともに、いのちと暮らしを守る運動で、いつも住民とともにあると感じていました。最近も、日本で初となる野田市の「公契約条例」制定で大きな役割を果たしました。これは公共工事の受注者は、労働者に一定以上の賃金を確保させるものとして高く評価されました。つねにバイタリティをもって運動をすすめる千葉土建に、いまあらたな注目が集まっています。

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