ひと

手探りで無農薬栽培◇増田自然農園 増田みわ子さん

ちば民報 2013.10.20

農園の畑の前で増田みわ子さん

無農薬有機栽培にこだわって農業をしている茂原市の増田自然農園を訪ねました。JR新茂原駅から徒歩で約10分の所にあります。以前、新日本婦人の会のお出かけ小組で芋ほりに来たことがあるのですが、だいぶ前のことなので、記憶にあるのはいただいたお昼ごはんのとっても美味しかったことばかりで…。今回はしっかりとお話を伺って来ました。

鶏ものびのび

当日は、雨が降ったり止んだりのあいにくの天気でしたが、増田みわ子さんが出迎えて畑を案内してくださいました。みなさんは「シモン芋」をご存知ですか。サツマイモの仲間で白サツマイモとも呼ばれています。もともと南米アンデス高地の野生の芋ですが、他の野菜に比べ含まれるミネラルやビタミンが非常に多く、食物繊維も豊富。ビタミンK、葉酸、ポルフィリンが豊富に含まれているので、これが出血、貧血、ガン、白血病に良いことは薬理学上明らかだそうです。また糖尿病、高血圧など多くの難治疾患にも良いという方がいるようです。

所狭しと葉の繁っている、シモン芋の畑の前でお話を伺いました。「シモン芋は完全無農薬でないとダメだし、大規模にはできないんです。千葉で作っているのはうちだけではないかしら。最初、芋をつけるまでは大変でした。今年は日照りがひどく半分近くが枯れかかって。でも、シモン芋のおかげで紫斑病が改善された友だちもいますし、毎年のように、命が助かったという人もいて」と増田さん。葉もミネラルやビタミンが豊富で、ジュースにしたり、乾燥させてお茶にするのも好評だそうです。

次に、鶏舎に案内していただきました。鶏舎には、白色のウコッケイと茶色のホリスブラウンがいます。小屋の前に土のスペースがあって、ホリスブラウンが20羽余り走り回っています。ウコッケイは小屋の中で静かにしています。どちらもツヤツヤとした羽がとてもきれいです。上にはカラスよけの網が張ってありますが、これがないと飛んで行ってしまうそうです。

「銃後の女たち」三部作の本表紙絵

3月生まれのホリスブラウンのヒナが育ち、卵を産み始めたところです。

ウコッケイのヒナは、家の土間で育てて大きくなりましたが、外の鶏舎に出したらその日に盗まれてしまったようで、増田さんはがっかりしていました。ひどいことをする人がいるものです。

鶏たちの飲み水は井戸水ですが、水のタンクに炭と貝殻を入れておき、その水にえひめAIという微生物資材を加えて飲ませています。そのせいか、鶏たちは元気で、糞も臭くありません。鶏が健康だと卵も良いのです。鶏たちは夕方になると鶏舎から畑に出してもらい、のびのびと散歩しているそうですよ。

荒れ地を開墾

お宅に伺い、シモンとニガウリのお茶をいただきました。クセがなく飲みやすく美味しいお茶です。農業を始めたきっかけなどを伺いました。

増田さんは、農業の経験は若い頃に1年ぐらいあるだけ。農園を始める前は、埼玉県浦和市(現さいたま市)の市議会議員を60歳まで12年間務められたそうです。今でも月に1週間ぐらいは行かれるのだとか。

農園の土地は増田さんのご実家のもので、1994年に開設しました。「議員を辞めて少ししてから、夫も定年でしたので、夫と息子と私と3人で農業を始めました。荒れた土地を開墾し、せっかくやるなら無農薬でやろうと。始めは大変でした。夏は虫が食う、冬は鳥が来る…。始めて20年になりますが、病気がちだった夫が10年ぐらいした頃から、とても元気になったんです。今、88歳ですが、1日1万歩を歩いています」。シモン芋をはじめ、無農薬有機栽培の作物の効果を実感している増田さん。「力仕事や水やり作業など、大変なことは息子がとても頼りになりますし、畑をお手伝いしてくれる方もいるんです」とのことでした。

無農薬有機栽培の農業をするには様々な工夫が必要です。落ち葉、野菜の残渣、籾殻、米ぬか、鶏糞、木酢液などを使い堆肥を作ります。土の太陽光消毒も必要です。畑に糠をまき、十分水をまいて、透明なポリエチレンフィルムをぴったり貼り付け1週間から1ヶ月ほど置くと、有害微生物や雑草なども少なくなります。木酢液入りの籾殻燻炭や、混合液を土に散布、また葉っぱにも葉面散布します。手作りのEMボカシには、ミネラル豊富な昆布の粉を入れていますが、それによってシモン芋のつきが格段に良くなり、その他の野菜の実のつきも良くなりました。

今年から使い始めた、えひめAIの材料は納豆、ドライイースト、ヨーグルト、砂糖、水なんですって。納豆菌や酵母菌や乳酸菌を利用しているんですね。もともとは河川浄化のために愛媛で作られたのだそうです。いろいろな試行錯誤を重ねながら無農薬有機栽培にこだわっている増田さん。信念の強さと行動力の人だな、と感じました。

増田さんが今いちばん心配しているのが、TPPや遺伝子組み換え農産物のこと。安全性に疑問のある遺伝子組み換え農産物が表示もなく持ち込まれたりします。「安いだけの農産物の洪水で、日本農業がつぶされてしまいます。TPPだけは絶対ダメ」と口調強く語ります。

注文を受けて発送している商品は、シモン苗、シモン茶、ニガウリ茶、シモン芋、ヤーコン、紫芋、紅あずま、里芋等があります。また、9月末から10月は芋ほりが出来ます。連絡すれば、お芋ごはんや冬瓜汁などの昼食を用意してくれます。

そろそろおいとましようかという時、「夫が帰って来ました」と増田さん。「埼玉まで行っていたんですよ」とお元気そう。ご夫婦仲良くお話されていました。これも無農薬野菜の効果でしょうか。ごちそうさま。

▼増田自然農園 茂原市上林125
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