ひと

知ってほしい野菜の力◇市川市の橋本紀代子さん

ちば民報 2014.3.9

少年時代から

スライド紙芝居の資料を示しながら橋本紀代子さん

「食べものはくすり」という本を書かれた、市川市にお住まいの橋本紀代子さんが、昨年秋あらたに、「野菜の力」を出版されました。読んでみると、野菜それぞれに昔から言い伝えられてきた薬効についてわかりやすく、読み物としても楽しく書かれています。橋本さんのお宅に伺い、本を出版なさるまでのことや、思いなどをお聞きしました。

漢方に関わり

少し長い引用ですが、この本の「ダイズ」の項目を見てみます。

「若さって何で測ると思いますか?しわ?しみ?
私はだ液がしっかり出ているかどうかだと思います。だ液が出ることは、さまざまな分泌液が出るということで、免疫力の目安になります。免疫力が高いと、がんになりにくい、細菌やウィルスに負けない、老化を防ぐなどの効果があります。…中略…
ところでダイズの効用をご存知ですか?
ダイズは老化防止に役立つ食材です。認知症の予防効果が…」

こんな感じで、橋本さんの漢方と薬剤師としての豊富な知見をもって、一つひとつの「野菜の力」が解き明かされていきます。最後に料理のレシピが載っていました。

橋本さんは薬学部で学びました。「どうしても薬学というんじゃなくて、女性が働き続けるには何がいいかな?と思ってね」と、はにかむように語ります。

漢方とは、東京の民医連病院での実習や、久保全雄さんという、母親運動のなかでポリオ生ワクチン輸入で活躍した医師と知りあって出会いました。卒業してからも民族医学研究所(のちの東京漢方教育研究センター)に関わりつつ、勉強したといいます。「漢方はずっとやっていますが、奥が深いですよ」

橋本紀代子さんが出版した「食べ物は薬」と「野菜の力」の表題のついた2冊の本。

紀元前から調べ

本を出版する直接のきっかけは、橋本さんの娘さんがアトピー性皮膚炎で、その除去食に取り組んだことからでした。食べ物を変えると、みるみるうちに症状が改善することを経験します。漢方の昔の薬物書を読むと、一つひとつの野菜や果物の役割が書いてあります。最近の若い人の食生活に思いをめぐらせると、多くの人たちが圧倒的に野菜不足だなぁと感じます。そんなとき、「野菜を食べたい!という気持ちになってもらえたらいい」という気持ちから出版を決断します。

中国の明の時代に集大成された、「本草綱目」という漢方の文献がベースになりました。同時に西洋の薬物について書かれているものも含め幅広く検討しました。「紀元前に書かれたものなんかは本当に奥が深くて。でも難解なものも多いんです。読んでくださる皆さんに野菜の素晴らしさを、どうやさしい言葉で伝えるかが難しかった」と苦労を語ります。

まずその成果を、「あすの農村」「女性のひろば」に発表し、2005年には「食べものはくすり」にまとめて出版しました。このなかでは、はやりの「サプリメント」に安易に走る傾向を厳しく批判し、警鐘を鳴らしました。この本は、すでに10刷を重ねています。いかにこうした本が待たれていたかを物語っています。今回の「野菜の力」は、「しんぶん赤旗」日曜版に連載していたものをまとめたものです。

わかりやすく

最近八百屋さんで市場に関わるNPOで活動している方から、学校で食育について話すときや、市場に小学生などが社会見学に来た際に、「子どもにもわかりやすくて楽しい、野菜のことがわかる資料がほしい」と言われました。「そこでいま、こんなものを作っているんですよ」と、製作中のスライド紙芝居を見せてくれました。

例えばダイコンの紹介。普通の青首ダイコンに加え、守口ダイコンのように細くて大人の背丈を超えるものがあることや、花の姿や形など、ダイコンの全体像が学べるようになっています。

本もスライドも、「本物の美味しい野菜を食べてもらいたい、そして野菜にこんな力や働きがあることを知ってもらえたら」との思いにあふれています。

橋本さんの今のお仕事は、あんまやマッサージ、指圧の治療院です。「腰痛で立てなかったという人が、帰りにはスキップしながら帰られるのをみると、嬉しくなりますね。母乳育児の関わりで乳房のマッサージもします」といいます。漢方薬については、月に2度ほど薬局で患者さんの相談活動をしています。そして杉の木保育園の理事もなさっているといいます。

「保育園でも橋本さんの食育の考え方の影響力は大きいのでしょうか?」とお聞きしたら、「いえいえ、杉の木保育園は栄養士さんがとても頑張ってます。梅干しひとつでも全然違いますよ。お米なんかは普通の2倍くらいの値段。経費はかかってもいいものを食べさせたいです」。こんな理事さんのかかわる保育所の子どもたちは幸せです。

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