ちば民報レポート

保健室の子どもたち 4 俺のこと嫌いみたい…

養護教諭サークル◇中学校 かあべえ

  ちば民報 2013.11.17

「あの人、スルーするんだよ」
朝、登校しようと家を出た時、ちょうど朝帰りをしてきた母親に玄関前で出会ったのに、無視されたという。
「信じられないよ。普通だったら、いってらっしゃいとか、遅くなってゴメンとか言ってもいいはずなのに、無視だもんね」と怒りを押し殺し、寂しさの塊をぶちまけるS男。

今までも、何度もスルーされているから、慣れているはずといえば話は終わる。しかし、いっしょにいた友人が、「お前のお母さんだよな」というものだから、「知らないおばさん」と答えたという。全く辛い朝の出来事である。

「おれ、嫌われているんだ。おれはいない方があの人にとってはいいのかもしれない」と、泣きべそ顔のS男にどう答えていいのか戸惑う。

「昨日は、テーブルにコンビニの弁当が、ひとつ置いてあっただけだよ」
「朝は、その残りを食べて来た。その前はピザだけ。いつも大体コンビニ弁当を一人で食べているんだよ」とぼつぼつしゃべる。よくここまで話してくれた。かあべえは、お前のかあちゃんではないけれど、S男のこと大好きだよ!

S男は小3の時、両親が離婚して、小6まで埼玉のおばあちゃんの家で育てられていた。中学校に上がる時に母親に引き取られ、千葉に来た。中1の5月に、ネグレクトで児童相談所にお世話になったこともあった。

かあちゃんの事情、子どもの事情がたくさんたくさん重なっている。千葉に来て2年目。母親の愛情が感じられない日々を過ごしている彼にどう伝えたらいいのか悩む。あわてて出た言葉でS男をなだめる。
「お母さん、無視した訳じゃなく、照れていたのかもしれないよ。友だちもいたから、よけい気を使って避けたのかもしれないね」

「買った物かもしれないけど、ちゃんと食べる心配してくれているじゃないの。考えてくれているだけでもありがたいかもよ」

適切な言葉かけでは、なかったかもしれない。母に見捨てられてはいないよと言ってあげたかった。
「お母さんはS君のこと気にかけているよ。ただ気持ちのあらわしかたが上手じゃないかもしれないね」

「S君は、ちゃんと自分の気持ちをいっぱい話してくれるから、私はうれしい。身のまわりのことも自分でできるし、すごいと思うよ。いろんな事あっても、大丈夫。乗り越えていけると思うよ」
「とにかく学校に来て元気な姿を見せてね。何かあったら、担任の先生とも相談して何とかするから」

朝、授業が始まるまでのわずかな間の出来事。
かあべえの子どもへのメッセージ。「あなたのこと大切に思っているよ」「あなたを見守っているから安心してね」と、このどーんとした図体で届けてあげられればいいな。

11月の保健室。今日も満員。生徒たち!自分の生き方を肯定して自分らしく生きていってほしい!

<ページトップへ>