ちば民報レポート

保健室の子どもたち27 しらけ集団が変わる

◇養護教諭サークル 中学校 あまちゃん

  ちば民報 2015.11.15

きょうは文化祭。玄関ではミニ菊花展のように、ピンクや黄色の菊が地域の人たちを迎えている。文化祭に間に合うようにと、子どもたちが数か月がかりで育て上げた一鉢一鉢だ。学年・クラスの活動と並行して、保健委員会でも、展示や舞台発表にと取り組んでいる。集団で取り組むことで、人間関係を学び、仲間づくりができる。その過程では、数えきれないほどのドラマが展開されていく。

祐樹が保健委員をしていた時も、思い出の深い年だった。3年生の祐樹は、いつもある友人と一緒。保健室には時折来るくらいだった。うつむき加減で、ひょろっとした体形。何か、いつもおどおどした雰囲気を持っていた。2人とも、2年生の頃からクラスではいじめられ傾向だと聞いていた。

ある日、同じ3年生の非行グループに呼び出されてケガをしたことがあった。幸い、大事には至らなかったが、保護者の方に来ていただいた。待合室にいる時だった。なぜ、もっと自分を主張しないのか、なぜ、抵抗しないのかと、お母さんが息子へのもどかしい気持ちをぶつけていた。「あと何か月か、オレさえガマンすればいいんだから…」と、唇をかみしめるように言った。祐樹の一言が頭を離れなかった。

何とかしなくては。いじめられた側もいじめる側も、このまま卒業させては、中学校の3年間の意味が問われる。そんな気持ちで病院から帰ってきた。

その後、ケガへの対応、病院での会話をめぐって、本人や母親、先生たちとの話し合いは続いた。強力ないじめグループへの指導は学校全体で始まった。その時を境に、祐樹は友人と一緒に保健室にも頻繁に顔を出すようになってきた。2学期からは保健委員会に入り、文化祭では、中心になって活動を始めた。祐樹の行動に驚かされたのは、シナリオづくりだった。

ある朝出勤をすると、「先生、見ておいてください」と言って、一晩で書き上げたシナリオを職員室の机の上にポーンとおいていった。パソコンの得意な祐樹は、表紙のレイアウトも工夫していた。「うーん。これはすごい」と、隣の席の先生が感心するほどだ。

仲間と一緒に活動する中で安心感を得て、自分の力を発揮する場ができてきたようだ。「保健委員の仕事をしている時、生き生きしてますよ」「保健委員会“いのち”ですね」と、担任や他の先生方の声が聞かれた。

今、子どもたちは、スマホに縛られ、ネットに影響された希薄な人間関係の中で生活をしている。でも本当は、もっと自由で伸びやかで、自分らしさが発揮できる、本物の集団、組織を渇望しているのではないだろうか。

しらけてバラバラだった集団が変わっていく過程、一人ひとりの抱える課題を乗り越えていく力、困難に出会いながら、達成感や充実感を感じ、成長変化していく過程。私自身、そんな魅力にとりつかれながら、委員会活動を続けている。

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