ちば民報レポート

保健室の子どもたち29 かまってあげる

◇養護教諭サークル 中学校 かあべえ

  ちば民報 2016.1.24

「3学期」。始業式が終わるや、「教室に行きたくない」と英輔(仮名)が保健室に直行して来た。

「あなたの大切なものとは何ですか?」「家族ですか?自分ですか?友達ですか?」という年頭の挨拶での先生の話。

生きる上で、「友人の大切さ」を語る大人・教師が多い中で、友達のいない自分はどうなのかと考え、悩んで落ち込んでしまったと英輔は言う。

「友達のいない自分は、ダメな人間。ダメな自分。最低。嫌われてもしょうがない。こんな自分はいないほうがいいかも…」と。どんどん落ち込んで、とめどなくマイナス思考に陥ってしまったようだ。

「友達いなくても、ひとりでも大丈夫。自分だけじゃないよ。友達いない人も意外といる。大切なことは自分を否定しないことだよ。今、友達がいなくても、いつか現れるかもしれないし、焦らないことだよ」。

「今、悩んでいることも成長の肥やしと思って、プラスに考えようね。まず自分を大切にして、自信を失わないようにすることね」と落ち着かせ、教室まで送る。

孝之もまた「ぼっち」。 「ひとりぼっちは、みじめで嫌だから無理して合わせて付き合っている。だけど、息が詰まる。思っていることが言えなく、しんどい」。

「ひとりで平気といいたいけど、そこまで、強くなれない。困るのは、好きな者同士で、組んでいいよと言われる時。行くところが無くて、逃げ出したくなる。入れてくれる班があっても、しかたなく入れてくれると思ってしまうから、疲れる」。

秀子のことを、周囲の子は、かまちょという (「かまってちょうだい」を略して、「かまちょ」)。

「秀子は、かまちょだから、しょうがない」と和子。
「リストカットするのだって、かまちょだからだよ」
「手当てして、心配してもらえるからするんだよ」。
「誰かに、かまってもらいたいんだよ」。

「泣いたりするのも同じ。それが、見え見えだから、わざとらしくて、こっちは、腹が立ってくるけど…」。

「そんなことしなくても、辛い気持ちを話せばいいのに話さないから、誤解されてしまうんだよ。でも、前の自分を見ているようで、よく分かるんだ」、「私、ずいぶん成長したよね。自分でも、リストカットしなくなったし、人の気持ちが分かるようになった」。

一年の時は教室から飛び出し、手を焼かせていた和子が、こんなことを話すようになったことに、三年間の成長を感じ、嬉しくなる。目前にせまった高校受験に、ようやく本気になって勉強するようになり、「もう少し」と応援している。

「私、進路決めたよ。養護教諭になる。いいでしょー。保健室に来る私みたいな子の世話をするんだ!」(笑)
何より嬉しい話に気持ちがほっこり。

「ぼっち」に「かまちょ」。ひとりぼっちでも大丈夫だよ。いっぱいかまってあげる。 今年も発信する保健室。

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