ちば民報レポート

保健室の子どもたち41 寒空の真夜中に

◇養護教諭サークル 中学校 かあべえ

ちば民報 2017.2.19

2年生の紀子は、金曜日の雪の降りそうな寒い夜に、そっと家を出た。向かったのは、近くの交番。誰もいなかった。次に知っていた交番へ。誰もいなかった。張り紙で、用事のある方はここに電話してくださいと書いてあったそうだ。紀子は、お金も携帯も持っていないので、連絡できなかった。もう一カ所、知っていた3つ目の交番へ。ここも誰もいなかった。

知らないおじさんが声をかけて来て、怖くなり、夜中に行っては、迷惑とは思ったが、頼れそうな友人の家に行き、チャイムを押したが、何の反応もなかった(夜は消音にしてあった)。

どうしようもなかったので、たまたま近くにあったコインランドリーに入り、暖をとった。暖房はなかったが、冷たい風が入って来ないだけましだった。漫画が置いてあったので、読む振りをしているうちに眠くなり、寝てしまった。

朝の9時まで待って、夜中にチャイムを鳴らした友人の家を再び訪れた。家の中で話を聞いてくれた。

友人と家族は、紀子の服装に驚き、大変なことが起きていることを察した。ダウンコートは着ていたが、中は、パジャマのまま。靴下も履いていなかったから。

友人のお母さんが作ってくれた温かいスープとパンで救われた。そのお母さんが、紀子の担任に電話してくれ、担任は校長に連絡。午後に学校に集まることになった。土曜日であった。

友人と一緒に、午後1時に学校に。待つ間、2人で保健室をのぞいた。たまたま部活で、来ていた私と時間まで保健室で話しを聴くことになった。しばらくして、校長、教頭、担任が来て、紀子の話を聞いた後、本人の承諾のもと、警察へ通報することになった。

警察官からは、ふたりは、別々の部屋で話を聞かれた。今までの経過と、学校での様子などを話した。

紀子は、半年前に両親が離婚して、今、父親と二人で住んでいた。母がいなくなった後、母に代わって、掃除、洗濯、食事作りなどをしていたが、父は気に入らないことがあると、物を投げたり、叩いたり、蹴ったりしてくる。食事を作ってもほとんど父親が食べてしまい、紀子はあまり食べていないことがわかった。

父は酔っ払った時は、変に甘えてすり寄ってくるという。昨夜は、寝ている自分の隣に横になってきたので、身の危険を感じて家を出てきた。

「もう家には、帰りたくない」とはっきり言った。警察に保護され、児童相談所に行くことになった。

紀子には「これから、どんな風に措置されるかは、まだ分からないけれど、あなたのこと心配して、守ってくれる人がいるから安心してね」、「自分のこと信じていいんだよ。今は辛いけど、きっと乗り越えられる。大丈夫」と伝えた。

最近、痩せて気になっていた矢先の出来事。もっと積極的に話を聴いてあげていれば良かったと思い、深く呼吸をしてみる。今後も、行動を起こした紀子を全力で支援していきたい。

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