ちば民報レポート

保健室の子どもたち43“子育ては大変だ”

◇養護教諭サークル 小学校 湯ばあば

ちば民報 2017.4.16

桜が咲いて、始業式が行われた。子どもらのはつらつとした顔は、これから始まる新しい学年のはじまりに期待している顔だ。

子どもらが春休みいっぱい楽しみに待っていたのは、学級担任発表である。担任発表があるごとに、「わー!」と歓声があがったり、手をたたいてとびあがったり、無言であったり。

その点、養護教諭の名前を紹介されるときは、大きなどよめきはないが、にこっとしてくれたり、よかったぁと声がもれる。

ことしも、からだの学習をしていこうねと合図をおくる。子どもたちは、からだの話をきくのが大好きだ。

入学式で、養護教諭は担任発表に続き、一番はじめに紹介してくれる。私も、緊張している一年生に、安心できるよう挨拶する。

「はじめての小学校で、ときどき、お母さんにあいたくなっちゃったぁ。涙が出そうになっちゃったぁ。おなかが痛い。頭がいたい。ちょっと、オシッコちびっちゃったぁ。そんなことがあっていいんだよ。いつでもお助けマンをしてあげるよ。声をかけてください」と挨拶する。そうすると、子どもも、保護者の方も大笑いしてくれるのだ。
在校生まで笑っている。

1年生は、ちょっとつまずいて、教室に行きたくない、学校をお休みしたい、宿題が終わってないから学校にいかれない、給食が食べられないということが、多くある。まだその日の気分ですごしているので、当然のこと。

その中に康祐(仮名)君がいた。上手にひらがなが書けたのに、先生は、はなまるをくれなかったということで、教室に行かれなくなってしまった。

毎朝お母さんは、保健室に連れてきてくれた。毎日お母さんは、私と雑談をしていった。どう対応していこうか、教育相談部で話し合いをした。担任の先生は、毎朝保健室に寄って、「康祐君おはよう!」と声をかける。それ以上余計なことは言わないようにする。ということにした。

担任の先生はあまりいい気持ちではありませんが、実行した。康祐くんの様子は毎日伝え話し合った。康祐君は、私のまねをして、怪我をした子に「おだいじなさい」と言うことができた。職員室に用事を頼んで行ってもらったりした。保健室に来た四年生が、「何でいつもいるんだ」と康祐君に詰め寄った。初めは返答に困っていた康祐。

そのうち「いたいからいる」と言い返すことができるようになった。康祐君に、担任の先生に用事を頼んで行ってもらうことをしてみた。頻繁に教室に行かれるようになり、いつのまにか、保健室から巣立っていった。

その康祐くんもいまでは大人になり、毎年年賀状で近況を教えてくれる。今年は、生まれた子どもが3才になり、子育ては大変だというから笑ってしまう。そのお子さんの顔、康祐君の1年生のときの顔にそっくり。康祐くん、りっぱなお父さんになってうれしい。

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