ちば民報レポート

保健室の子どもたち45 幸せの甘い味

◇養護教諭サークル 中学校 かあべえ

ちば民報 2017.6.16

新緑の奈良・京都への修学旅行。盆地の京都は熱中症になりそうなぐらいの蒸し暑さだ。日差しが強く、汗ばむ中、生徒はグループ行動で、事前にきめていたコースを探索する。

養護教諭は、具合の悪い生徒を引率して歩くこともあるが、大抵はホテルなどで本部待機となる。何事も起こらず、無事に生徒がホテルまで到着することを祈りながら、校長や学年主任、旅行会社の人たちと携帯電話の着信を気遣う。班ごとに携帯電話を持っての行動なので、パソコンの位置情報で各班が、市内のどこにいるのかが分かる。

予定より早い時間で行動している班、遅れている班、コースから外れている班と一目瞭然で、本部から、逆に連絡して確認することもできる。チェックポイントに立っている先生方への連絡もできる。便利な世の中になったものだ。

行動を開始してから、三時間ぐらい過ぎた頃、「足が痛くなって、動けない生徒がいるので、迎えに来て欲しい」との要請で、タクシーで駆けつけた。

金閣寺に近い昼食の場所で休んでいた生徒は、保健室によく来ていた順子(仮名)だった。旅行直前まで、行くかどうするか悩んでいた生徒だった。顔を見たら、困り顔の照れ笑い。「どうしたの?」と聞くと「歩き慣れない靴を履いたから、足が痛くなって、みんなより歩くのが遅くなり、これ以上迷惑がかかると悪いなぁ~と思って、別行動することにした」と。

みんなを気遣っての行動に出たのだった。順子は不登校ぎみで、家にいることが多く、あまり動かなかったので、体重も増え、普段から歩きなれていなかったために行動が遅れたのだ。班のみんなが、配慮して、ゆっくり歩いてくれたのだが、それが心苦しい。

その場の状況に応じて、病院に搬送したり、ホテルに連れ帰ったりするが、今回は本部と相談して、暫く休養して、動けるようなら、私が順子を引率して、一緒にコースを回ることになった。本当は、みんなと一緒に行きたい気持ちなのが、よくわかったからだ。

金閣寺、銀閣寺では、入口から入り、みんなと別行動で、出口で待った。お陰で一時間位は、ゆっくりと足を休められた。

楽しみにしていた「抹茶かき氷」のスイーツのお店では、みんなと食べられて、幸せいっぱいの笑顔だった。もちろん私も生徒と一緒に同じ「抹茶かき氷」を食べた。順子の引率のお陰で、幸せの甘い味を味わえた。

ホテルで夕食を食べた後の自由時間に大広間で座っていたら、同じ班の生徒と順子が近寄って来た。

「先生のお陰で、みんなと抹茶かき氷食べられて良かったーと、話していたんだよ。また三人で京都にきて、一緒に食べようと約束したんだよー」と。

忘れられない修学旅行の甘い味の思い出、順子の成長を見た気がした。「また一緒に食べよう」と言ってくれた生徒に感謝の気持ちでいっぱいだ。

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