風物

400本の頼朝桜 鋸南町

(ちば民報 2012-3-4)

河津桜は2月頃から咲く早咲きの桜として知られている。記者は3年ほど前に伊豆半島の河津までその桜を見に行って来た。自治体の経営する協定旅館に一泊して散策してみた。川の周辺には様々な食べ物の出店があり、賑わっていた。普段見慣れているソメイヨシノと違って濃いピンク色で、まだ寒いが早い春の到来を待っているかのような可憐な花びらだった。

実は千葉県でもこの河津桜を見る事ができる。筆者が今までに見たのは市川国府台にある千葉商科大学の正門近くに植えてある1本の河津桜である。千葉市内でも美浜区の稲毛海岸駅近くや市川市の妙典で散見できる。

また、河津桜がまとまって咲く場所があるという。それは鋸南町にある佐久間ダムの脇にある親水公園である。例年だと2月中旬には五分咲きになるという情報を仕入れて、横殴りの吹雪く日に半信半疑で出かけた。車のハンドルを握るのは編集協力員の一人Sさんだ。

千葉から約2時間、出発する前の「桜の開花は大丈夫だろうか?」という懸念は現実のものとなってきた。車を降りて付近を見回すが桜の気配はまったくなく、梅だけが咲いている。ダム湖を半周してみるが観光案内地図の「頼朝桜」と書かれた位置の桜は蕾もついていない。

鋸南町の桜はなぜ「頼朝桜」と呼ぶのか? この鋸南町では、平成13年度から「鋸南町花いっぱい運動」の一環として町内各所に桜の苗木を植栽した。鋸南町ではこの桜(河津桜とまったく同じ種類)を、石橋山の戦いに敗れ小舟で逃れた源頼朝がこの町の竜島海岸に上陸し、再起を図ったという歴史的事実にちなんで、河津桜に「頼朝桜」という愛称をつけたのだという。平成20年度末までにこの佐久間ダム親水公園には約400本の頼朝桜が植栽されている。

頼朝桜のつぼみの写真が撮れないことには記事が書けない。がっかりして湖の畔にある休憩施設で雨をしのいで早い弁当を食べ始めた。すると湖の畔で植栽の仕事をしている人たちが、「雨の日の作業は辛い」と言いながら昼食の弁当を食べるために入って来た。いまは小さな紫陽花の苗を鉢からだして植える作業をしているのだという。それは後5年もすると紫色の花を咲かせて、わたしたちの目を愉しませてくれる。紫陽花一つにも鑑賞に耐える姿にするにはそれほどの長い年月を必要とするのだ。まして桜は…。「頼朝桜の記事を書くために取材に来たが、写真が撮れなくて困っている」というと、休憩所の反対側を指さし、「あっちならば一輪か二輪咲いている」と教えて下さった。

とにかく今年は寒くて咲くのが遅い。今ならば勝山駅の線路際に咲いているという事だった。20日ころに平年よりも3週間遅れで開花宣言がでた。ちば民報がお手元に届く3月上旬には見頃との鋸南町情報だ。

▼鋸南町地域振興課 電話 0470(55)1560 バスは少ないので要確認

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