風物

5m超の釈迦涅槃像と万木城跡を訪ねて

2013.2.10

万木城のふもとに釈迦涅槃像が安置されている

いすみ鉄道国吉駅から北東に2kmほどにある海雄寺は、戦国時代にこの地をおさめた万木城主・土岐氏の菩提寺です。ここに青銅製の釈迦涅槃像が安置されており、平成2年(1990年)に県の有形文化財に指定されています。海雄寺は小型の乗用車さえ入りにくい道の傍らにひっそりとありました。

無住の寺で、本堂の中は暗く、電気をつけると窓越しに釈迦涅槃像を拝観することができました。

全長5.16mの巨像で、正徳年間(1711年~1715年)に近在の人々の寄進により造られたようです。涅槃像の全身には村の名や人名が刻まれ、江戸中期初頭における夷隅の人々の信仰生活の一面を伝えているといいます。

5月の万木城まつりの時には一般公開されるそうですから、その時でしたら、しっかりと拝観できるでしょう。

土岐氏の居城だった万木城は、この海雄寺から北に500メートルほど行った小高い山の上にあります。夷隅川が天然の外堀となっているようです。「天守」の展望台は周囲より一段高くなっており、おそらく望楼だったのでしょう。房総の山々と里、そして海まで望むことができます。ここに続く道は堀跡にも見えます。駐車場わきに米蔵と呼ばれる土塁状の高まりがありますが、ここでは今でも当時のものと思われる焼き米が出土するそうです。

周囲は尾根を人工的に削り落した跡もみられます。井戸跡もありますが、なんとブロックで囲われていました。城マニアには「隠れた名城」と言われているようです。

大多喜城主となった本多忠勝(徳川家康属将)に攻められ落城、土岐氏は途絶え城も廃城となりました。北条氏と里見氏という大勢力に挟まれたこの地で、独自の位置を占めた土岐氏の夢に思いを馳せた一日でした。

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