風物

屏風ヶ浦 東の果てに断崖つらねる荒波の造形

ちば民報 2013.7.7

屏風ヶ浦の切り立つ断崖

九十九里浜の北限に飯岡漁港があります。そこから太平洋にいどむ海岸の風景がガラリと変わります。

漁港の北端の浜から見上げる断崖絶壁の上が旭市飯岡の刑部岬(ぎょうぶみさき)です。ここを起点に、銚子市名洗までの約9キロメートル、千葉の東の果てに高さ35から60メートルの荒削りの断崖絶壁がつづきます。 梅雨空の下、屏風ヶ浦を訪れました。

屏風ケ浦は、イギリスのドーバー海峡のホワイト ・クリフになぞらえて、「東洋のドーバー」と呼ぶ人もいますが、浜からそそりたつ岸壁を見ると、その比喩にも納得してしまいます。

訪れた日は台風3号の余波で、灰色の厚い雲を映した黒ずんだ海に白い波が泡立っていました。コンクリートの遊歩道は、太平洋の荒波で破壊されて、ガタガタになっていて、途中で途切れているらしく、端から端までは歩けないようです。

刑部岬の高台に上がってみると、やや小ぶりな白い灯台が建っています。これほど高く見通しが良い場所なら、この小ささでも十分灯台としての役割は果たせるのでしょう。

隣の展望館に立ち寄りました。ここからは先ほどの飯岡漁港から、南に延々と続く九十九里海岸がはるか遠くに見渡すことができます。

展望館には3・11の津波が眼下の飯岡漁港に押し寄せたときの写真が展示されていました。堤防をはるかに超えて押し寄せる津波に思わず身震いを感じました。旭市では多くの津波による犠牲者を出し、今も仮設住宅で不自由な生活を強いられている方々がたくさんいます。

太平洋の荒波がつくり出した海食崖の屏風ヶ浦は、土地が年々浸食されて、海岸線が後退しているといいます。展望館で入手したリーフレットによると鎌倉時代(1183年~1333年)には現在位置より6キロメートル先に海岸線があったと言いますから波の持つ破壊力に驚きます。

飯岡港付近より見た屏風ケ浦

美しい地層

 

屏風ヶ浦の北端、銚子の千葉科学技術大学の近く、名洗に行ってみました。「屏風」の名の通り、海から立ち上がった崖は、ほぼ水平の縞模様で砂質の堆積層を見せています。美しい地層の光景です。このあたりも元々は海の底であったようです。この日は延々と続く小雨に煙る断崖と、ざわめく暗い海、人っ子ひとりいない光景。一種殺伐とした凄さを感じさせています。

名洗の近くで、黒いウエットスーツのサーファーたちが10人ぐらい、波に興じているのに出会いました。サーフボードを抱えたサーファーの、はじけるような笑顔の会釈にほっとさせられました。

車がないとやや不便ですが、JR銚子駅から名洗方面に、JR旭駅から刑部岬方面にバス便があります。

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