風物

広くて静かで学べます=国立歴史民俗博物館

ちば民報 2014.7.13

くらしの植物苑

くらしの植物苑は板塀に囲まれ、門は丸太2本に横木がわたされた作りになっている。

京成佐倉の駅を出てほんの少し歩くと、もうあたりは何やら懐かしい空気が漂います。

まず駅前の観光協会。編集長が真っ先に聞いたことは、「くらしの植物苑に行くんですけれど、そのあたりにおいしい食事のできるお店ありますか」でした。教えていただいた植物苑への道を行くと、佐倉市立美術館につきあたります。重々しい古さを残した、佐倉らしい建物です。歩いていて、落ち着いた気持ちになれるのはなぜでしょう。きっとここに住む人たちが、「我が町」を誇りに思っているからでしょうね。

胃腸も熱出す?

そんなことを思いながら、国立歴史民俗博物館「くらしの植物苑」につきました。1995年に開設された苑内は、「食べる」「治す」「織る。漉く」「染める」「道具を作る」「塗る。燃やす」という6つのテーマに沿って、さまざまな植物が植栽されているようです。一つの木は、一つの用途とは限りません。「食べる」だったり「治す」だったり、あるものは、薬にもなるし、毒にもなるし…、きちっと分類することは、出来ないところが自然です。

さっそく「治す」のところです。カラタチがすっかりトゲだけになっていました。「白い白い、はなーが…、」どころか、あの優しい歌のイメージは全くありません。「胃腸の熱をさます、生薬」と書いてありました。「胃腸も熱だすのかー」と私。弟切草は、オトギリソウと読みます。止血、うがい薬などに。「ひどい名前だねー、弟を切るなんて」と編集長。「弟が指を切った時に、つけてあげると治る草」と私。はてさて、本当の意味は、何でしょうね。

素敵な名前を見つけました。「苦参」は、クララと読みます。オジギソウに似た葉で、さわってみましたけれど、寝ませんでした。茎葉を煮詰めて、駆虫剤になったり、黄色の染料にもなるとのこと。「食べる」には、ビワ、トチ、クルミ、など。

中級の碁盤?

縄文人にとって大切だったトチの実は、食べるまでに何日も作業をしなければなりません。昔の人は、大変でしたね。「オニぐるみ」が大きくなっていました。あとどのくらいで食べられるようになるのでしょう。おいしそうに「アンズ」がたくさんなっていました。「あー、ここは一刻も早く通り過ぎよー」と編集長。去年二人で、どこかのだれもいないお寺の、小さなビワを2つ、失敬したことを思い出しました。

見たかったホオノキの花は、もう終わっていました。昔は食べ物を包んだのですから、この葉の大きいことはわかりますけれど、それにしても、ひこばえの葉の大きいこと。びっくりです。40センチ以上ありましたから。「道具をつくる」では、桂の木は、「鎌倉彫に重用とされ、また、中級の碁盤に用いる」ですって。中級、が妙にひっかかりました。「染める」では、あの赤みがかった茶色の、黄八丈の鳶色は、タブの木の皮で染める、と知りました。他にも「塗る、燃やす」では、漆を用いた工芸は、縄文時代にすでに高度な域に達していたそうですし、「織る。漉く」のコーナーとかもあります。

おおきなスダジイの木

苑では、伝統の朝顔、古典菊、冬の華サザンカなどの特別な催しもあるようです。この日は、ナデシコが展示されていて、伊勢ナデシコを初めて見ました。カラスウリの花のように、裂けた花弁が下がっためずらしい花でした。でも、なでしこは、カワラナデシコが、やさしげで一番かな。

樹齢400年、と編集長が決めたスダジイは、必見ですし、適度な広さで、静かで、知らなかったことにたくさん出会えて…、蚊にボコボコにされました。帰りには教えていただいたお蕎麦屋さんで、おろしそばを食べて…、とても楽しい半日でした。かゆみ止めを持って、お出かけになってみてはいかがでしょうか。

企画展示もぜひ

この植物苑は国立歴史民俗博物館(歴博)の約300メートル南の城跡の一角、佐倉中学の隣になります。歩く場合はJR佐倉駅、京成佐倉駅からゆっくりで30分前後。迷いそうになったら「佐倉中学」を目安に聞くとわかりやすい。バスの場合はどちらの駅からでも「田町車庫行き」に乗車、「国立博物館入口」または「国立歴史民俗博物館」で降りて歩きます。

植物苑は旧佐倉城周辺にあった自然を生かして作られており、巨樹・古木もあります。食事は歴博にもレストランがありますから、歴博と一緒に訪れれば一日楽しめます。

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