実例が満載「生きる力の輪」

成年後見人という選択

ちば民報 2015.1.18

Oさん(82)は、70歳近くまでタクシーの運転手をしていました。妻とは離婚、息子とは断絶状態です。

現在のアパートは知人に借金をして、昨年4月に入居しました。9月までに家賃を2度滞納し、支払いがなければ10月1日には明け渡すという「合意書」を不動産業者に書かされました。支払期日まであと5日という時に相談に来ました。

「10月15日には年金が入るので待ってほしいと、不動産業者にかけあってくれないか」というのです。業者と交渉し、その結果、11月末までに入金がなければ明け渡せということになりました。

Oさんは皮膚がん、心臓バイパス、脳梗塞などで医療費がかかり、転居の繰り返しで借金がかさみました。Oさんの年金は2ヶ月で32万円ほどです。年金を担保にお金を借りましたので、年金支給日に10万円引かれ、電気、ガス、水道、携帯代などでほとんど残らず、家賃、駐車場代2ヶ月分で10万6000円が払えなくなりました。

11月末までに家賃が払えず、「12月1日に年金基金から7万6000円が入るので、待って欲しい」と言いましたが拒否され、やむをえずOさんに一日だけ5万3千円を貸し、不動産業者に払いました。

業者は、「Oさんの年齢から、確実な方策がとられないと契約は難しいので、成年後見人が決まったら知らせて欲しい」と言われました。社会福祉協議会に、日常生活自立支援事業が受けられないか聞いたところ、「Oさんはお金の使い方で判断能力が欠けている。法定成年後見制度を利用したほうが適切」とのことでした。そこでOさんが信頼している司法書士に成年後見人を依頼し、引き受けてもらいました。

Oさんには、自由にお金を使いたい思いがあるようでしたが、成年後見人がいなければアパートの契約はできないと不動産業者に言われ、覚悟を決めたのです。

Oさんは、年金ローン、自動車ローンが今年2月15日には終わります。月16万円の年金なら家賃、駐車場代を月5万3000円払っても、何とか生活できそうです。

今後、Oさんのような、ひとり暮らしの高齢者や高齢者のみの世帯がますます増えてきます。

成年後見制度や、これを補完する日常生活支援事業などが、もっと身近で利用しやすく、歳をとっても安心できる制度にしていく必要があります。

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