実例が満載「生きる力の輪」

ホテル住まい1カ月から

ちば民報 2015.7.12

Yさん(60)がしきって相談に見えました。Yさんは30年前に夫の転勤で広島市から流山市に移り住みましたが、その後、夫の会社が倒産。社宅だった住まいは払い下げられ、ローンで買いました。夫は両親の面倒を見るため広島市の実家に帰り、Yさんは長女、長男とで流山市で暮らしていました。

ところが5年前、26歳の長男が仕事のストレスと失恋をきっかけに、躁うつ病・感情障害となり入院しました。そして入退院をくり返し、Yさんに暴言をはき暴力をふるいます。そのつど間に入ってくれていた長女は、長男の攻撃性が怖いと家を出て、入れ替わりにYさんの夫を広島からよびもどしてくれました。

長男は昨年、年上の女性と1月に結婚し8月に子どもができましたが、9月には離婚。ところが12月には3人の子を持つ女性との再婚を決め、今年6月から家の近くのアパートで暮らすことになり、「病気でもないのに俺を入院させた。薬は飲まない」と両親を責めました。

Yさん夫妻は長男の暴力を恐れて、いっときは長女のもとに身を寄せていましたが、長居はできませんので1泊6千円のホテル住まいで1カ月過ごしました。

Yさんは、長男から避難するために市営住宅に入れないかと、生活保護窓口や警察の生活安全課、保健所などに相談しましたが、「対象ではない」「長男と離れなさい」と言うのみで、支援はなかったといいます。

でも、長男の近くから離れるには、長男たちが経済的にやっていけるか、3人の子を育てつつ、さらに妻は妊娠5か月で、長男が病気を抱えているのが心配だというのです。

それでも息子はYさんの家のカギを持っているので、発症して来ると恐ろしい。どうしたらいいかわからないというのです。

私はそれに対して、「長男が発症したら入院をさせること。これを拒否するようなら、医師と保健所に相談すること。経済的な困難であれば、病院のソーシャルワーカーに相談して、長男の生活保護を代理申請してもらう。長男が家に来ることが予想されるから、Yさん夫妻は家を出て、生命保険を解約してお金を作り、住宅を他に確保するようにし非常事態を乗り切ったらどうでしょう」と話しました。

生命保険の解約による返戻金は30万円でした。駅の近くの6畳2間にキッチンが付いているアパートを、初期費用約17万円、月々の家賃は4万3千円余りで借りることができました。

Yさんはこうして1カ月続いたホテル住まいに終止符をうち、長男の暴力におびえないで済むようになり、「今の政治の状態は危険」「戦争法は許せない」と、社会の出来事にも意識がむき、行動にも立ち上がれるようになりました。

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