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「資産申告」のしめつけ

ちば民報 2015.11.8

「本年4月1日から生活保護法による保護の実施要領の一部が改定され、保護受給者の方々には、毎年1回資産申告書をご提出いただくことになりました。これは、保護開始後の相続や贈与等により生じた世帯の資産状況を的確に把握することにより、世帯の実態に即した保護を行うことをその目的としています」(10月23日付)という通知が保護利用者に届きました。

それは、土地、田畑、家屋(持家、借家、間借)、現金(世帯員の手持ち金の総額)、預貯金(預金先、口座番号、口座氏名、預金金額、預金先が複数にわたる場合は別紙記入)、有価証券、債権、事業用設備等、自動車、生活用品、趣味装飾品、貴金属の有無を記入し、「有」の場合はその内容を詳しく記入するよう求めています。そのため不安の声が相次ぎました。「どう書いたら良いのか」「預金は全部書かなくてはいけないのか」「いくら位までなら預貯金が認められるのか」などなどです。

通知には、「被保護者の現金、預金、動産、不動産等の資産に関する申告の時期及び回収については、少なくとも12カ月ごとに行わせることとし、申告の内容に不審がある場合には必要に応じて関係先に調査を行うこと」とあります。

生活保護法第4条1項は、保護実施の要件として、「資産の活用」を求めています。保護費抑制政策のもと、「補足性の原理」を過度に解釈し運用することにより、保護が必要な人への最低生活保障を拒んでいます。現金・預貯金は、保護開始申請時点と保護利用中に区分されます。

保護開始時で保有が認められる現金・預金の額は、その世帯の1ヶ月の最低生活費の2分の1程度です。これを超えれば収入認定され、当初の保護費が減額されます。保護利用中の預貯金等は、保護費のやりくりによって生じた預貯金は認められています。「生活保護費で資産形成は不適切」といった報道もありますが、誤りです。

秋田地裁判決(加藤訴訟)では、高齢障害者世帯が付き添い費用にあてるため、約80万円預金していましたが保有が容認されました。

最高裁判決(中嶋訴訟)では、高校進学費用にあてるため、約50万円の学資保険の保有について容認されています。厚生労働省も、保護費のやり繰りによって生じた預貯金は、「活用すべき資産にはあたらない」としています。今後、毎年の資産申告で誤った運用をなくす交渉が必要です。

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