実例が満載「生きる力の輪」

お金がないから防衛大

ちば民報 2016.1.17

経済的理由で公立高校に進学を決めていたのに、私立との併願を勧められ親子で傷ついています。

「公立とともに私立を受験すると、とりあえず2万円の受験料が必要になる。社会福祉協議会に一緒に行って欲しい」とNさん(45)から電話がありました。その5日前に会ったNさんの長女・Aちゃんは、むりょう塾の教師に実力テストなどを分析してもらい、「がんばれば大丈夫」と言われ、「公立一本で行く」とはりきっていた矢先だったのです。

学校は生活保護家庭であることを知っています。ならば「受験料や私立だと年間70万円もの費用をどうするか、なぜお子さんに示さないのか。私立の受験をすすめる以上、親子に不安解消の説明が必要ではないか」と、Nさんに伝えました。

Nさんに私が同席し、校長と話し合いました。校長から渡されたAちゃんの志望校の「入学者選抜要項」によると、「F公立高校の出願にあたっては、普通科は市内全域、商業科及び体育科は千葉県全域とする」とあります。Aちゃんの望む普通科に出願するためには、F市に母子ともに転居しなければなりません。私は校長に、生活保護利用者であり今は転居できないと伝え、商業科はためらっているというAちゃんと話すことになりました。

その会話は次のようです。

私―F高校の普通科は市内に親子同居でなければならないの。生活保護を利用しているし、弟の学校のこともあるから、転居はできないの。商業科ならば流山市から出願できるのよ。

A―商業科は将来の進路で不利になるかと不安です。

私―商業科の教育方針を見てもそんなことはない。Aちゃんは将来何になりたいの?

A―看護師になりたい。お金がないから防衛大学に入るつもり。

私―戦争法が通って真っ先に戦場に送られ、お母さんを悲しませるのよ。看護師なら、防衛大学でなく、お金をかけなくていい道はあるから大丈夫。

…こんな話し合いをしてAちゃんは希望校の商業科をめざすことになりました。後日、Nさんから電話があり、「学校で親子、担任、進路指導教師、校長で5者会談をしました。“必ず希望する受験校に合格できるようおたがいに頑張りましょう”ということになりました。本当に良かった」と言っていました。

経済格差の広がりで、貧しい若者たちを「自ら志願」させる「経済的徴兵制」が、水面下で進行している現実を目の当たりにしました。戦争法廃止とともに、貧困をなくすことがどうしても欠かせないと感じた一件でした。そして教育予算を抜本的に増額し、誰もが希望する高校で学べる政治にしなくてはならないと決意を固めました。

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