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移送費支給の範囲は

ちば民報 2015.6.12

「子どもが睡眠時無呼吸症候群といわれ、手術のため1週間入院。その後、月1回通院。病院からは保護者の付き添いを言われた。けがやインフルエンザなどでも付き添うが、市のケースワーカーは『親の付き添いの通院交通費は出ません』と言われた」。「通院移送費を申請したが、『2カ月を超えて遡及することは妥当ではない』と却下された」など、「保護の実施要領」を無視した違法な保護行政がおこなわれている実態がある、との訴えが出されました。

5月24日の千葉県と生健会との交渉で、子どもの通院で付き添う母親からの「交通費が支給されない」との訴えに、県健康福祉部生活保護担当者は、「調査する」といい、明確な回答ができませんでした。

生活保護では、生活扶助や医療扶助、介護扶助で必要な移送費用が支給されます。生活扶助での給付範囲は15項目で、親族の危篤または葬儀の参加、出産のため病院等に入院または退院するときなどに本人と付き添い者に支給されます。

医療扶助の移送費は、「傷病等の状態に応じ、経済的かつ合理的な方法および経路により移送を行ったものとして算定される最小限度の実費(医学的管理等のため付添人を必要とする場合に限り、当該付添人の日当等を含む)」とあります。

厚生労働省は、2008年4月、通院移送費を原則不支給の通知を出しました。これにはすぐに反対運動が広がり、6月には事実上撤回しますが、必要な交通費が支給されない事例が相次ぎました。その後2010年3月12日、局長通知で、2008年4月以前と同じ取り扱いだと訂正しました。

その内容は、移送費の給付方針は、「傷病等の状態に応じて経済的かつ合理的経路および交通手段によっておこなう」こと。通院移送費の範囲を「福祉事務所管内の医療機関に限る」としていたものをなくし、「要保護者の居住地に比較的近距離」「ただし、傷病等の状態により(中略)専門的治療の必要性、治療実績、患者である被保護者と主治医の信頼関係、同一の病態にある当該地域の他の患者の受診行動等を総合的に勘案し、適切な医療機関への受診が認められる」としたうえで、電車、バス、それ以外8項目の例をあげています。

支給制限につながった、「交通費が高額になる場合」などの表現を削除し、要保護者にたいして事前申請等手続きの周知を図ることを加えました。

こうした通知を無視した通院移送費の支給制限は許されません。しかし、移送費の不支給のように、保護の実施要領を無視した、違法な「漏給」が多々見られます。

憲法の基本的人権と生存権を守る生活保護行政に、変えていかねばなりません。

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