実例が満載「生きる力の輪」

制度が利用しやすいよう

ちば民報 2016.8.14

Tさん(75)は、自転車で転倒し、5月25日に緊急入院。大腿骨骨折と診断されました。

Tさんは1人住まいで、年金月額8万5000円、住宅はワンルームマンション4階に住み、家賃月額3万7000円、共益費3000円、生活費約4万円位、赤字は預金を取り崩して生活していました。Tさんの友人からの連絡で、病院に行きTさんの意向を聞きました。

「娘(43)は、小2、小4と中2の男の子がいて、教育や生活費にお金がかかっているので世話になりたくない。生活保護を受けたい。今の住まいは4階で車椅子生活はできないので、施設に入り安心して暮らしたい」と訴えていました。

病院の社会福祉士と会い、保護の代理申請をお願いしました。ところが、「娘がいるなら福祉課に来るように」と言われ、娘さん1人で行くところでした。Tさんから電話が入り、娘さんに私が同行することになりました。

窓口対応は退職職員(再雇用)で、私たちが見ていないところでは、申請させずに帰すよう“ベテラン”の職員が配置されているのです。娘さんには「生活保護の申請をします」と権利を主張し、申請書が書き終わるまで相手の言葉に誘導されないよう注意をしました。

申請書に記入をしていると、「病院に入っているのにお金がかかりますか」と質問がありましたが、申請が目的ですから申請手続きをしました。終わると担当ケースワーカーが決まり、最初の訪問日程が決まりました。

訪問は病院のベッドサイドでおこなわれ、病院の社会福祉士と私が立ち会いました。「娘さんや親類縁者の援助を受けられませんか」などと言われると、申請者が「ハイ」と援助が受けられるかも知れないニュアンスで答えてしまうことが多いからです。しかし、実際は援助不可能な人が多いのが実態なのです。

退院後の住まいは、生活保護で利用できるサービス付き高齢者住宅に決め、そこへの転居費用の申請をし、8月1日に退院してそこに入居しました。

Tさんの生活保護基準は、1カ月約10万6000円で、そこから年金控除後の8万2000円を差し引き、差額の2万4000円が保護費として支給されます。高齢者住宅は家賃4万1000円、食費や管理費等で6万円で、1カ月5000円位が本人に残る計算です。

医療・介護等の負担もなくなりましたが、Tさんは「1カ月5000円でやっていけるか」「お金がなくなったら出されるのではないか」と心配をしていますので、生活保護の仕組みを理解してもらいます。

申請を受けたい人が生活保護制度をもっと利用しやすい、役所の対応が求められています。

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