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保護のしおりチェックを

ちば民報 2017.9.10

小田原市の生活保護担当の職員が「保護なめんなよ」と書かれたジャンパーを着て世帯訪問をしていた問題のその後です。このジャンパーは職員に対する10年前の傷害事件を契機に作られ、64人が購入し、現職33人のうち28人が持っていました。

この事件の問題点を元ケースワーカーで全生連事務局の田川英信さんは、「第一に、保護利用者を蔑視する表現です。利用者全てが不正受給者であるかの様な表現を公にして業務にあたれば、利用者や市民に萎縮効果を生み、心を開いて相談したいとは思わない。

第二に、利用者の人権・プライバシーへの配慮の不足です。生活保護の秘密保持は重要で、職員の訪問は、利用者のプライバシーに配慮して、服装や言動には細心の注意が必要です。問題あるジャンパーを日常的に着用して訪問していたのでは生活保護世帯を公にしているのと同じです。

第三にジャンパーが10年もの間、内部で見直しされず受け継がれたことです。本来なら、後任の管理職なり職員が、問題に気づき軌道修正すべきでした。それがなされなかったことは、業務に対する認識・意識の低さと共に、職場の風通しの悪さを示しています」と述べています。

小田原市は問題発覚後、全職員アンケートを実施し、人権研修をおこない、「生活保護のあり方検討会」を設置しました。検討委員には生活保護利用者の権利擁護に取り組んできた森川清弁護士と、元生活保護利用者である和久井みちる氏が選任されています。検討会では、生活保護法についての誤った理解や、違法な法運用の数々が見つかったのです。小田原市のホームページや「保護のしおり」が制度の誤解を招き、住民の制度利用を遠ざけている事も問題になりました。

ホームページには「生活保護よりも民法上の扶養義務(特に親子兄弟間)の方がより優先されますのでご親族でどの程度の援助ができるか話し合って下さい」と、親族による扶養が保護の要件であるかのような、誤解を招く記述がありました。

また保有が認められる可能性がある資産(居住用不動産、保険、自動車、原付自転車など)について、一律に処分を求める保護のしおりだったのです。小田原市は抜本的な業務改善をはじめ、ホームページや保護のしおりも親しみやすい正確な内容に変えました。

千葉県生健会は、誤った制度運用をなくすため、保護のしおりの改善を要求しています。皆さんも自治体の保護のしおりをご覧になり、小田原市のものと比較してはいかがでしょうか。生活保護のしおりの「チェックポイント」は全生連、千葉県生健会にお問い合わせください。

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