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保護基準と加算の維持を

ちば民報 2017.11.12

2012年春、タレントの親族が生活保護を利用していたという報道を契機に、生活保護報道が過熱し、同年12月の総選挙で「生活保護の給付水準10%引き下げ」を公約にした自民党が政権に復帰しました。13年8月から3回に分けて生活扶助基準を平均6・5%、最大10%を引き下げました。引き下げは多人数世帯と子どものいる世帯ほど大きくなりました。

小・中・高生と双子の小学生の母子家庭のKさんは、月額2万5000円(10%)も減額となりました。15年度から住宅扶助基準と冬季加算も引き下げられました。

2級地の柏、我孫子、野田、流山市の住宅扶助基準は、2人世帯は5万9800円から4万9000円と1万800円の削減です。明らかに厚生労働大臣の裁量権逸脱、濫用(生活保護法第8条2項)であり、憲法25条が保障する生存権の侵害です。

2018年度には、5年に一度の生活保護基準の見直しが予定されています。母子加算の削減と子どものいる世帯の生活保護基準の引き下げが強く懸念されています。

本来、生活保護基準の設定は、年齢、健康状態、世帯構成、所在地域等の個人または世帯の実際の必要に応じて「健康で文化的な最低限度の生活」を維持するためには、どれだけの費用を要するかを科学的に探究しなければならないのです。

財政制度等審議会が指摘するような、生活保護を受けていない「一般家庭の消費水準」と比較して「不公平感を招くか否か」という観点でなされるべきではありません。こうした比較は、何ら科学的ではないし、本来生活保護の利用資格があるのに制度を利用しえていない漏給層が「一般低所得世帯」中に膨大に存在するという現状からすると、際限のない生活保護基準の引き下げを招く恐れがあるからです。そもそも、子どもがいる世帯の生活保護基準は、生活保護世帯の子どもを貧困から脱却させ、貧困の連鎖を解消するのに十分な水準でなければならないのです。

生活保護世帯の子どもの大学等への進学を認める運用改善が行われたとしても、その一方で、母子加算や児童養育加算の削減などによって子どものいる世帯の生活保護基準が引き下げられるような事態となれば、運用改善の効果は大きく減殺されてしまいます。

5人のお子さんのKさんのように、母子加算、月額2万5440円が削減されるようなことになれば、大学どころか高校進学も困難となります。がまんくらべは終わらせましょう。

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