ちば民報レポート

住民生活を守る立場こそ

日本共産党県議団長 小松実(ちば民報 2013.2.17)

歴史認識をひた隠し

千葉県知事選挙は28日告示、3月17日投票で行われます。現職の森田知事は1月30日出馬を表明しました。これで、「憲法がいきる明るい千葉県をつくる会」の三輪定宣氏との一騎打ちの様相となっています。日本共産党県議団長の小松実氏に、県政の焦点と今後の展望について語ってもらいました。

森田知事が、いったいどんな考えで県政運営に携わってきたのかは、県民の大きな関心事の一つです。知事選前の最後の県議会でのことです。

安倍首相が、かつての日本の侵略と植民地支配への反省と謝罪を表明した「村山談話」や、慰安婦問題で日本軍の関与を認め謝罪を表明した「河野談話」を見直すと発言し、内外から厳しい批判を招いている問題で認識を問われた知事は、「論評する立場にない」と、答弁を拒否。「見解を示せないというなら、ひとりの政治家として、知事として資格が問われる」との再度の追及にも、同じ答弁でした。

森田知事が代表委員を務める日本教育再生機構は、かつての侵略戦争を正義の戦争と描き、従軍慰安婦や南京大虐殺を否定する歴史教科書を発行する組織です。そうした自らの歴史認識を県民の前に示すことができず、それをひた隠しにして選挙に臨む。なんと姑息な姿でしょうか。そういえば、前回選挙では、自民党の支部長でありながら、「完全無所属」と名乗り、裁判にまでなりました。

原発、消費税、TPP

国の政治が住民の願いを踏みにじるとき、防波堤となって住民を守るのが自治体の役割であり、トップの責任です。森田知事はどうだったでしょう。

放射能汚染に苦しめられ、「原発ゼロの日本を」と願う世論と運動が広がりました。しかし森田知事は、「ただちに原発をなくすことは、現実的でない」と、原発を擁護し再稼働を容認する立場に立っています。さらに、「鋸山に原発を」との石原・前東京都知事の暴言にも抗議の声も上げませんでした。

一時保管施設を視察する県議ら

放射能汚染焼却灰の一時
保管施設を視察する県議ら

消費税増税は、県民の暮らしと営業に大打撃です。議会で問われた知事は、消費税はあらゆる世代が広く公平に負担する税、との立場から、「社会保障の財源としてふさわしい」と政府・財界の主張をおうむ返し。ここでも県民多数の願いに背を向けました。

さらに、農業を壊滅させるTPP(環太平洋経済連携協定)への参加問題で、全国4位の農業県の知事として、「反対を表明して欲しい」との切実な願いにも、「政府が責任をもって、判断するもの」と、まるで他人事のような態度でした。

続く巨大開発の浪費

財政が厳しいからと、県民サービスを削る一方、森田知事のもとで相変わらず巨大事業への浪費が続いています。その一つが八ツ場ダム。金利等を含めて総事業費9千億円。千葉県の負担総額は、760億円ともいわれます。上水道も工業用水も水余り。洪水対策としての効果も証明されていません。ダムをつくって巨大企業だけが大儲けするという構図にストップをかけるべきです。

建設がすすむ巨大道路(外環道工事)

県民生活そっちのけで建設がすすむ
巨大道路(外環道工事)

総事業費2千億円のつくばエクスプレス沿線開発も破たんは必至です。開発総面積1081ヘクタール、うち千葉県施行分だけでも、573ヘクタール。事業費の大半を保留地処分金で賄う計画ですが、地代は大幅に下落。赤字は、税金で埋める以外にありません。同地区で、約460ヘクタールを開発中のURは、すでに事業計画の見直しに入りました。過大見積もりによる過大投資、そして破たんすると、その処理にまた莫大な税金を投入するという過ちを繰り返してはなりません。

さらに、巨大道路の建設です。東京外郭環状道路にすでに1550億円、首都圏中央連絡道に816億円、北千葉道路に391億円。負担はまだまだ続きます。いっぽう生活道路の修繕や安全対策は二の次、三の次。「公共事業は、暮らし密着型に転換すべき」が、県民の声です。

本来の仕事置き去り

こうした浪費が続く一方で、自治体本来の仕事である、医療や福祉、教育が置き去りにされてきました。 人口10万人当たりのお医者さんの数は全国45位、看護師さんの数も、やっぱり45位。病床数は、44位です。一方、国保料(税)が高く、払いきれずに滞納する方が増えています。滞納者から、正規の保険証を取り上げるペナルティーの厳しさに加え、容赦ない差し押さえが激増しています。2011年度の滞納額は、53億6600万円で、前年の1・5倍にもなっています。

暮らしや福祉はどうでしょう。県民一人当たりの「民生費」は、全国47位。高齢者を支える「老人福祉費」は46位。子どものための「児童福祉費」は、やっぱり47位。いずれも全国最下位クラスです。 お金がないわけではありません。県民一人あたりの住民税の高さは、全国4位。したがって、自治体財政の豊かさを示す「財政力指数」も、全国第4位です。税金の使い方が間違っているのです。安心して医療にかかれる、年をとれる千葉県づくりが急がれます。

さらに、教育です。子どもたちが豊かに学び育つための条件整備、それこそが教育行政の唯一最大の任務です。 ところが実態は、どうでしょう。一年限りの不安定な身分と極めて低い賃金の臨時任用教師が多用されています。生徒や教職員、地元の声を踏みにじって県立高校の統廃合が強行され、少人数学級は遅々として進んでいません。 一方、「道徳」教育が強調され、特定の価値観が強要されています。やるべきことをやらずに、やってはならないことをやってきたのが、森田知事の4年間です。

循環型地域経済こそ

この間、「企業に選んでもらえる地域づくり」「地域間競争」が強調され、県は過剰なまでのサービスを用意して、企業誘致に血道を上げてきました。しかし、こうした企業呼び込み型の政策は、ことごとく失敗してきました。

1000億円以上を投じて開発したかずさアカデミアパークでは進出企業がなく、撤退を表明している富士通の用地を含めると、半分以上が空き地のままです。センター施設のかずさアークを運営する第三セクターは、60億円もの損失を出して破綻しました。

さらに、50億円もの補助金の仕組みまでつくって誘致したIPSアルファテクノロジは「身売り」を繰り返し、地元に深刻な影響を与えています。大企業の身勝手な進退に振り回されるのでなく、自然エネルギーや地域の資源を生かし、地域のお金が地域を巡り潤す持続可能な循環型の経済をめざすべきです。

財源は確保できる

1998年から始まった法人事業税の2割減税。新年度を含めるとその減税額の累計は4900億円を超えます。すでにたっぷり減税の恩恵を受けている大企業に、他の工業県が実施している超過課税を実施すれば、年間110億円程度の財源が生まれます。巨大事業への無駄遣いをなくすことと合わせ、県民の願いに応える財源は確保できます。しかし、森田知事には、大企業にモノを言う姿勢は見られません。

住民生活を守る立場でどんな相手にも、堂々と理を尽くしてモノを言える知事こそ今求められています。

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