ちば民報レポート

憲法の根本が崩される

  ちば民報 2013.11.17

政府は、特定秘密保護法案を今国会で成立させようとしています。女優の藤原紀香さんはご自身のブログに、「放射能汚染、被爆などのことや、他に、もし国に都合よく隠したい問題があって、それ(秘密保護法)が適用されれば、私たちは知るすべもなく、しかも真実をネットなどに書いた人は罰せられてしまう」と異論があると表明しました。

何が秘密か秘密

秘密保護法のいちばん重大な問題は、「特定秘密」と指定されたものの範囲が、無制限だということです。指定は誰がするのかといえば、防衛大臣や外務大臣、警察庁長官などです。結局は、政府が「特定秘密」と決めたら、秘密になってしまいます。

対象は、防衛、外交、特定有害活動の防止、テロの防止という4分野23項目となっていますが、恐ろしいのは、「それに関する情報」という追加の一文。これで「秘密」の範囲は際限なく広がるのです。

さらに「何を特定秘密にしたか」が明らかにされないことです。たとえば自衛隊や米軍基地が周辺住民や国民を苦しめている実態を告発するために、写真を撮ったり、調査してブログやチラシで知らせたら、それだけで突然、逮捕状を持った警察がやってくることが考えられます。その容疑内容さえ、「特定秘密」ですから、自分がなぜ逮捕されたのかも、何を裁かれているかもわかりません。弁護士も「特定秘密」の中身を調べられず、被疑事実も調べられませんから、弁護活動もできなくなります。

山内敏弘一橋大名誉教授(法学)は、「憲法の三つの基本原理である基本的人権、国民主権、平和主義と真っ向から衝突し侵害する」とのべ、憲法の根本が崩されることを懸念しています。

原発の情報も

原発事故などの情報も、核物質が関わりますから、当然特定秘密です。事故がおきても、汚染水や放射性物質がどうなっているかを調べるだけで、10年以下の厳罰となります。

福島県議会は10月9日、全会一致で、この法案の慎重審議を国に求めました。
「…原子力発電所事故に関しても、原発の安全性に関わる問題や住民の安全に関する情報が、核施設に対するテ口活動防止の観点から『特定秘密』に指定される可能性がある」。また「情報が適切に公開されなかったため、一部の浪江町民がより放射線量の高い地域に避難した」と具体例をあげ秘密主義を批判し、「重要なのは徹底した情報公開を推進すること」とのべています。さらにこの法案は「ファシズムにつながるおそれ」があると国政全体への危機感を表明しました。

米いいなりに

狙いはなんでしょうか。
今国会で審議がされている「秘密保護法」は「国家安全保障会議」(日本版NSC)と一体のものとして働きます。「国家安全保障会議」は「官邸が外交・安全保障政策の司令塔になる」「各国と機密情報を共有する」のが主たる目的です。共有する情報は主に「同盟国」アメリカからのもので、官邸以外に漏らさない体制を「秘密保護法」で作るということです。

イラク戦争のとき、米英が機密情報と称して、存在しない大量破壊兵器の脅威を煽り、一方的な攻撃にふみきりました。日本政府はアメリカの情報をうのみにして開戦を支持し、自衛隊を派遣しました。

またアメリカが、ドイツなどの首相の携帯電話を盗聴していたことが大問題になっていますが、アメリカにある日本大使館も通信傍受の対象になっていました。「各国と機密情報を共有する」といいながら、アメリカの意のままに収集された「情報」を防衛・外交の唯一のよりどころにして、アメリカを中心とした同盟国がいつでも戦争にふみきれるようにするものです。これは集団的自衛権の行使と結びついています。

安倍首相の頭には、米軍の指揮のもとで、戦車に乗って、日本国の総司令官として陣頭指揮をとる姿が描かれ、その体制をつくりあげたいということのようです。

命に代えても

10月30日に開かれた特定秘密保護法案に反対する千葉の会結成集会で、平和委員会の代表は、「自衛隊の様々な危険な動きの日常的取材は、平和を守る活動をすすめるうえで欠かせない。自衛隊のイラク派兵の人数も自衛隊は少なく発表していたが、事実を調べて指摘、訂正させた。これも許されなくなる」と廃案に向けて決意を語りました。

「まったくの素人」という女性は、「父は水俣病で有名なチッソの社員でした。二度とあんな苦しみは与えたくないと原発反対運動にかかわり、そのなかで、この法案のことを知った。これが通ったら戦争へ突き進んだ時と同じになると感じている。命に代えてもこの法案を廃案にしたい」と切々と思いを語りました。

戦争中は地図も、天気の情報も秘密でした。台風が来ても国民は知らされず、大きな被害がありました。国民に知らされるのは、「大本営発表」だけだったという歴史の教訓を忘れず、廃案に追い込むため、行動しつつ学ぶ両輪の運動の強化が急がれています。
(編集部)

 

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