ちば民報レポート

どう処分する?放射性廃棄物=千葉県弁護士会がシンポジウム

  ちば民報 2013.12.1

トラック荷台からホークリフトを使って運ばれる放射性焼却灰

我孫子市に持ち込まれる放射性焼却灰

日本弁護士連合会(日弁連)は福島原発事故のあと、脱原発への具体的道筋を示した意見書や損害賠償の基準と体制に関する意見書などを公表してきました。また10月3日の広島での人権擁護大会では「放射能による人権侵害の根絶をめざして」というシンポジウムを開催しました。こうした日弁連のとりくみの一環として千葉県弁護士会は、11月2日、放射性廃棄物の処理問題という困難な問題について、法律面だけでなく医学や物理学の立場、さらには廃棄物処理現場の観点から考えようと「放射性物質汚染廃棄物の処理処分問題を考える―放射能汚染から地域の環境と命を守るために―」というシンポジウムをかずさアカデミアパークで開催。130名を超える参加者がありました。

軽視できない内部被曝

まず「『低線量』放射線内部被曝から子どもたちの命と人権を守る―『脱ひばく』集団移住法の法制化をめざして―」と題して、岐阜環境医学研究所の医師である松井英介氏が、今まで正当に評価されてこなかった「低線量」放射線内部被爆について、医学的見地から放射線物理学を駆使してその危険性を明らかにしました。

内部被爆は、低線量でも健康への影響は大きく、がんや先天性障害、免疫異常のほか心臓病など様々な病気が発症することがわかってきました。特に放射線に対して感受性の強い子どもや胎児に大きな影響を与えます。

チェルノブイリではネズミを使った研究でDNAが傷つけられることによって、何代にもわたり異常が受け継がれて行く様子が明らかにされています。ウクライナでは91年、特に子どもたちの命を守るため、「移住の権利を保障する基本法」が成立しました。

しかし日本ではまだ、放射性物質によって汚染された地域の住民、特に子ども・妊婦などが汚染の少ない地域に移住できる法律がありません。松井氏は、内部被曝による健康障害の深刻化を食い止めるために、移住し安全に生活できる法的財政的基盤を整備するよう国に求めていくことが重要であると言います。

つづいてドイツ放射線防護協会会長で物理学者のセバスチャン氏が、挨拶を兼ねて発言しました。氏は、放射性物質が焼却や灰という形で日本全国へ広がっており、放射線防護の観点からすれば、「これは惨禍だ」と言います。

原発処分場問題全国ネットワーク共同代表の藤原寿和氏は、「放射性物質汚染廃棄物をめぐる全国の動向」と題して講演し、廃棄物の処理は、放射性物質を含んでいるいないにかかわらず、発生した所で処理すべきだと提言しています。

講演の最後に、日弁連公害対策・環境保全委員会副委員長で弁護士の山口仁氏は、「放射性物質汚染廃棄物をめぐる法制の問題」と題して講演。現行の放射性物質汚染対処特措法の見直し、特に公害物質として厳しい基準で環境法制体系に組み入れることを求めました。

情報隠しと住民無視

会場からの発言では、福島県の方から、環境省が鮫川村で住民をないがしろにして進めている、放射性廃棄物焼却実験施設の問題が、大阪の内海さんからは、大阪放射能ガレキ広域処理差し止め裁判の状況が報告されました。

我孫子市の小林さんから、手賀沼終末処理場に於けるゴミ焼却灰の一時保管施設の問題点、小櫃川の水を守る会事務局長の佐々木さんから、木更津、君津、富津における県が認可した管理型処分場が水源地を脅かしている問題が報告されました。

いずれも情報隠しと住民不在で、国や府県が進めている実態が明らかになりました。会場からの質疑もあり熱心な集会となりました。

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