ちば民報レポート

銚子の個性活かし「軽トラ市」

  ちば民報 2013.12.15

新鮮な野菜や魚のお店がたくさん出店、買い物を楽しむ親子連れ。

小春日和に恵まれた11月最後の日曜日、銚子駅から10分ほど銚子港に向かって歩くと、どこからともなくオカリナの演奏が聞こえてきます。歩行者天国の賑やかな人波が見えてきました。銚子観音門前の銀座通りで、4年ほど前から月1回開かれている「軽トラ市」です。訪れたのは昼すぎ。10時からやっているのはわかっていたのですが、なにぶんにも銚子は千葉からは遠いのです。

幅広い参加者

「本当はもう少し早くきていただけると…。今日も大変な賑わいだったんですよ。もう品物もかなり少なくなって…」と実行委員の鈴木さん。

鈴木さんの本職は保険屋さん。保険でおつきあいのある農家のお客さんの協力で野菜を、その他大正時代の在庫という瀬戸物、戦争中に鉄がなくて土器で作ったお釜など、大変珍しいものを置いています。まるで文化財のようです。聞いてみると、「祖父が瀬戸物屋でした」とのことでした。

鈴木さんが、水彩画を並べているコーナーに案内してくれました。地元画家のサイトウヒロミチさんが、銚子電鉄沿線から漁港あたりの風物を描いた絵が、額にきちんと収まって、小さなものは1000円、大きなものは2000円と格安です。

サイトウさんに「素晴らしい絵なのに額代程度ですね」とお聞きしたら、「確かに、画商さんがついてしまえば、1号1万円かな?でもいいんですよ。銚子に観光に来た人がたくさん買って行ってくれるのが嬉しいです。外国の方も買って行かれますよ」。

お話を聞いているうちにも、2枚、3枚と買って行かれる方が次々!こんなに飛ぶように絵が売れる光景は見たことがありません。「いいでしょ、801よ」。今買われたお客さんが、銚子電鉄を走っている車両型式番号をスラスラいいながら絵を見せてくれました。銚子電鉄を愛してやまない画家さんとお客さんで話がもりあがっています。「今走っているのは、伊予鉄道で走っていたのが多いんです。ここにはレトロな電車が似合いますからね」。

もともとはイラストレーターとして活躍なさっていたサイトウさん。今は地元のこの「軽トラ市」のほか、ポートタワー隣の「うおっせ」で作品を常設展示しているそうです。

出店の中に、なんともめずらしい「缶詰つり」がありました。銚子は巨大漁港を背にして、缶詰工場の町でもあるんですね。ラベルの貼られていない缶詰を5つ6つと磁石で釣れるだけ釣って、たったの200円だそうです。

スパイスが効いたいい香りが漂ってきました。ジャマイカ音楽グループの出しているジャマイカ料理とのことで、青年ばかり数人が鶏肉を網焼きしています。香りに負けて1ついただいてみると、なかなかしっかりした良い味を出しています。お世辞でなく「プロでもやっていけそうですね」と言うと、少しはにかんだ笑顔を見せてくれました。青年のまわりにはお仲間でしょうか、若い女性なも寄ってきて楽しそうです。

今回は出ていませんでしたが、メダカを売りに来る「メダカ博士」もいるとのことです。

そのうちに、「銚子のサバはなぜ美味しいか」をテーマにした「サバ紙芝居」がはじまりました。さらに銚子ジオパークのゆるキャラ「ジオっちょ」が登場。子どもたちにもなかなかの人気ですが、若いお母さんたちが大喜びでした。

短い時間でしたが、幅広い方たちが参加していることがかいま見えます。

「軽トラ市」副実行委員長の深井さんとお友達

プラスアルファ

「軽トラ市」の成り立ちを副実行委員長の深井しの子さんが話してくれました。

「3年間くらい、年に何回か夜祭りをイベントとしてはじめたんです。でも年数回では、なかなか地域おこしにまで結びつかないですよ。スタッフも増えないし。なんとかもっと定期的にやろうと、ということで、月1回あちこちから軽トラで来てもらって今回で30回目です」。

もちろんそれ以前の夜祭りなどイベントの経験が下地になりました。

最近、この商店街のスーパーが倒産し、ご近所さんは生鮮品が買えなくなって困っていました。それで新たに「軽トラ市」として生鮮品を扱っているお店や近隣の農家、船主さんに協力してもらい、空き店舗を利用し「金曜市場」を毎週開くようになりました。「地域の人にかかせない取り組みになるのが大切です」といいます。

もともと銚子は、漁業とキャベツやダイコンを中心とした野菜の生産が盛んな土地柄。また醤油の町として、経済力も文化水準も高い街です。「そんなさまざまな個性を活かした取り組みにしていきたい。物産展で終わらないプラスアルファが必要」と語ります。

勝浦などの朝市とは、背景も歴史も違う「軽トラ市」です。それでも地域に賑わいを取り戻したい、誰もが住みやすい街を守りたいという、地域の方々の意識的な取り組みが、子どもから青年、お年寄りまで巻き込んで活気を示し、銚子の老舗商店街に新しい魅力が生まれている気がしました。

銚子を訪れるときには、この軽トラ市とあわせ、外川あたりの漁村風景を楽しみつつ、屏風浦あたりに、銚子電鉄を使って行ってみると、さらに楽しいものになることでしょう。

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