ちば民報レポート

新制度にどう立ち向かうか◇保育関係者がシンポ

  ちば民報 2014.3.2

2015年度から保育制度が大きく変わろうとしています。その内容と問題点、どう立ち向かうかを語り合う「ちば子育てシンポジウム」(実行委員会主催)が大阪保育研究所の杉山隆一氏を迎えて、2月9日、千葉市で開かれました。大雪のなか約70人が参加しました。

認可の行政責任

市川市保育問題協議会の廣田徳子さんは、株式会社として初めて認可された保育園について報告。ここは施設設置基準に抵触する劣悪な施設でした。経営者は「保育所ビジネスの始め方・儲け方」という本の著者です。職員に「指示通りにやれなければ辞めろ」と言い、あまりのひどさに多くの先生が辞め、園長は解雇されました。都内では同じ経営者による保育園の認可が取り消されました。廣田さんは、「いったん認可しても、問題があれば取り消してほしい」と、行政の断固たる姿勢を求めました。

別の社会福祉法人の保育園は、何度も保育事故をおこし職員も園長もクルクル代わりました。挙句の果てに指定管理者を3年で辞退するというのです。理由は、「事故がトラウマで保育に自信が持てない」。しかし一方で系列園を全国で次々展開しています。また、補助金を不正受給している社会福祉法人もありました。

廣田さんは、「根本には、私立認可園すべてを一人の職員がチェックするという無理な市の管理体制がある。どんな保育所でも安心して子どもを託せる行政の対応を求める運動が大切」と指摘しました。

非正規急増で

松戸市保育所職員労働組合の高平福代さんは、松戸市の保育園で非正規職員が3分の1以上に急増している実態を報告しました。来年度からは延長保育との引継ぎ時間が7パターンになり、保育が細切れになります。「職員の出入りも頻繁になり、きちんと会議をして保育を引継ぐことができない。改善させることが求められる」と報告しました。

水準を守らせる

船橋市保育園父母会連絡会の今仲希伊子さんは、「船橋市子ども・子育て会議」に保育所と父母の立場、子どもの代弁者として参加しています。その論議の様子と、父母会の活動を報告しました。父母会連絡会では6000筆を上回る「豊かな保育を願う要望署名」を市に提出。国基準より高い船橋市の水準を引下げさせない、待機児童対策は認可保育所の増設を基本とするなど、新制度に移行するにあたって意見を反映させていきたいと語りました。

誰もが等しく

全国無認可保育所連絡協議会の伊藤ミチ子さんは、無認可保育所の現状を報告。保育所は歴史的にも無認可から認可に発展してきたこと、認可保育所の保育の中身は、親の切実な保育要求を背景とした母親運動、保育運動などの到達点だと強調しました。

今も無認可保育所には“認可保育所に入れない”など、約25万人の子どもたちが過ごしています。それなのに、国の公的保障は「職員の健康診断費補助」くらいです。市川の例でもわかるように待機児童対策は、単に認可保育所を作れば終わりではありません。新制度に移行しても行政の責任で、無認可を含め「すべての子どもたちはどこにいても等しく公的保育を受ける権利がある。その中身を認可でも無認可でも、どう具体的に保障させるかという観点で運動を進めたい」と発言しました。

「共同」積み重ね

雪害による遅延のなかかけつけた杉山氏は、「新制度になっても、 市町村は保育を提供する責務を負う」ことは変わらないことを強調。現行の制度の「保育に欠ける要件」「保育水準」を守らせること、多様な制度となっても、子どもが等しく権利を受けられる必要があると語りました。

認定こども園は保育の実施責任が市町村にないことから、保育所を増やさないことにつながります。また保育の一貫性に疑問もあります。「保育はどんな場合も公的な供給を基本にさせたい」などの提案をおこないました。

当日は行政、議員、保育所、学童保育関係者など多彩な参加があり、活発な論議がかわされました。

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