ちば民報レポート

富津の「命の川」守る=漏洩続く「管理型処分場」

  ちば民報 2014.3.2

今にも雨が降りそうな1月30日、「大塚山処分場の漏洩問題の解決を求める市民の会(登坂幸子代表)」の呼びかけで、大塚山管理型最終処分場の見学会がおこなわれた。管理型とは、埋め立てた産業廃棄物が安定・無害化するまでの相当期間、汚染水など有害物質が環境に放出されないように維持管理を要する処分場のことを言う。見学会には「市民の会」の鈴木紀靖氏と富津市議の松原かずえ氏を含め総勢25名が参加した。

同処分場は、内房線上総湊駅から約7キロ、車で15分ほど山に入った富津市高溝地区大塚山の東側谷間にある。1985年に第一処分場(70万平方メートル)の埋め立てが始まり、1992年に第二処分場(120万平方メートル)の増設が行われ、さらに2007年に第三処分場(32万平方メートル)が増設された、県内最大級の管理型処分場だ。

漏洩が止まらない

第2処分場の火山灰層への遮水シート張り工事の様子。大きなクレーンを使っての工事だがシートはごく一部分にしか張られていない。

ところが、漏れてはいけない処分場内保有水の漏洩が2006年8月に発覚した。第二処分場の下流側観測井戸から高濃度の塩化物イオンが検出されたのである。事業者の大平興産㈱は、県の指導で暫定対策として下流側敷地内に揚水井戸の列を作り保有水を汲み上げてきたが今も漏洩は止まっていない。

現地に入ってまず疑問に思ったのは、処分場建設のため山の斜面を削り取って露出した、斜め縞状に走る火山灰層である。第一および第二処分場は、不透水性岩盤だからと遮水シートを敷設しなくてよいと県が許可した。この山全体が水を漏らさぬ器には到底思えない。実際漏洩が発覚して、その原因究明のため事業者が行った調査でも、Kd38という透水性の高い火山灰層があった。

見学の焦点は、事業者が2012年9月から始めた追加対策工事で、内容は①仕切り壁設置、②火山灰層への遮水シートの敷設、③目詰まりの3つだという。現地で大平興産の技術部長の説明を聞いて、ますます疑問が深まった。

既に完成した仕切り壁は、最長38m、径80cmの鋼管矢板を岩盤に2mほど打ち込んであり、この壁が第二処分場の上流と下流を分断するのだという。仮にこれで保有水の遮断ができたとしても、下流側の保有水は垂れ流しではないか。また、当日施工中の火山灰層への遮水シートの敷設も、埋立地側面からの浸透を防止するというが、仕切り壁から上流部分だけであって、下流方向に続く火山灰層には手をつけない中途半端なもの。そしてまだ実施していない「目詰まり」というものだが、下流部分の地中の保有水に空気を吹き込み、空気中の炭酸ガスと保有水内のカルシウムを反応させ炭酸カルシウム粒子を生じさせ、火山灰層のすき間を目詰まりさせるというものである。これで下流部分からの漏出を防ごうというものらしい。しかし、事業者は実験では効果があったというが、こうした工法の実例は聞いたことがない。

「許可」は前提?

事業者の当初の処分計画を縮小して県が許可した、シートを敷設した第三処分場(32万平方メートル)には、産廃のほか福島原発事故の放射能を含む焼却灰などが搬入されている。降雨のせいか急に硫黄酸化物のような嫌な臭いが立ちこめた。

事業者は、第三処分場の残余容量が無くなってきたので、2011年10月に第二処分場の半分ほどを覆うように第三処分場の拡張申請(86万平方メートル)を行った。その際、「漏洩がなお続いている」と県は申請書を受理しなかった。県は指導要綱に基づいて事前協議手続きを求めたが「欠陥処分場では事前協議手続きがとれない規定がある」ことから、県は事前協議はできないとした。しかし、その後事業者が行っている追加対策工事のうち、「完成している仕切り壁設置の効果があった」として、県は昨年6月この拡張申請を受理した。つまり「生活環境の保全及び廃棄物の適正処理を図ることを目的とする」事前協議の手続きもなく申請が受理されたのだ。県は、許可するかどうかは、追加対策工事の完了後に検証してから判断するとしている。

しかし見学会に参加した「市民の会」の人たちは、追加対策工事の実施を前提に、県が許可することを、内諾しているのではないかと、強い危惧を抱いている。工事現場を実際に見た限り、かなりの人と金を使っている対策工事は、第三処分場拡張が乗る上流側半分だけ。とうてい抜本的漏洩対策とは思えない。

処理水の放流は年間10万トン、放流先の沢には魚はもちろん生物は一切住まないという。その川から水を引いた7反歩の田圃の稲は昨年実が入らず全滅、処分場下流の髙宕川では、かつて遡上していた鮎も見当たらなくなったという。富津市議会は、「市民の会」など3団体が提出した「漏えい対策の徹底と、第三処分場の拡張計画に反対する意見書」を求める陳情を全会一致で採択し、昨年9月意見書を県に提出した。その中で、湊川は農業と花輪浄水場の水源であり(現在は休止中)、また漁民にとって「命の川」だと言っている。

<ページトップへ>