病休で懲戒解雇!? ちいさな「ブラック企業」で

  ちば民報 2014.7.13

会社に認められた!

Aさん(30歳)は高校中退後、工場の配管やメンテナンスを扱う従業員10人弱の会社に勤めました。有給休暇はあっても、年に数日体調を崩した時に休む程度でした。勤務は「明日は仕事が無いから休んでいい」「仕事が入ったから出てくれ」と安定しません。勤務時間も不定期で、現場に行くために朝の4時、5時に家を出るということも日常茶飯事でした。

Aさんは勤務は大変でも真面目に働いていれば報われる時がくると信じて働いてきました。昨春、工場長をしていた社長の弟が辞め、工場長に抜擢されました。

それからは、現場仕事とともに、顧客企業の担当者との打ち合わせ、資材手配から作業員の配置、工程の管理までと、責任が重くてもやりがいがあり、充実した日々を過ごしていました。伝票の整理などを昼休み返上や居残りでコツコツとやっていました。

Aさんは、「工場長にしてもらって、それまでがんばったことが会社に認められた気がして、とても嬉しかったんです。それで社長の期待に応えようと頑張ってきました」といいます。

心と身体の不調が…

しかしその頑張りがアダとなり、昨年秋から心と身体が不調を訴えます。朝だるくて起きられず、10月に3日、11月に1日、12月に3日と休まざるをえませんでした。すると社長は休むたびに激怒し、叱責の声をとばしました。

Aさんは、もともと病気がちだったかといえば、そんなことはありません。「工場長になる前は、病気で休むのは年間で7日も休まなかった」のですから。

ところが今年の2月25日、どうしても身体が動かなくなります。その日は休み、翌朝も回復しなかったので「病院に行きたい」と会社に連絡を入れました。電話に出た社長から、「体調管理がなっていないのはお前が悪い。すぐに出て来ないとクビだ」といわれます。それでもあまりに体調が悪いので、Aさんは病院へ向かいました。

診断結果は、「発熱及び全身倦怠…とりあえず1週間の安静を要する」でした。ところが会社は診断書の受け取りを拒否。Aさんはお付き合いしていた彼女Bさんのお宅で休ませてもらいました。以前からBさんと付き合っていることを知っていた社長は、Bさんの両親に5回も電話をかけ、「Aを出せ」と怒鳴り散らすのでした。翌日、社長の息子と従業員が自宅アパートにやってきて、「会社に来ないとクビだ」といい放ちました。

そんなことがあった一週間後の3月4日、体調が戻らないAさんは再度病院で、「心身症型自律神経失調症…一ヶ月の自宅安静」との診断を下されます。医師の診断書を会社に届けに行くと、「仕事ができないやつはクビ」と、その場で言われます。挙句の果てに、「彼女と別れろ」となんの関係もないことまで言われたうえに、3月12日、突然懲戒解雇通知が届けられたのです。

汚名の覚えはない

以前からこの会社では、社長らの気に入らないことを少しでもすると、「クビ」にされるということが日常的に起きていました。Aさんは、身を粉にして尽くしてきた会社からの仕打ちが、許せない思いでした。少なくとも懲戒解雇などという汚名を着せられるようなことは絶対していない。その思いで全日本金属情報機器労働組合(JMIU)に相談し、会社と交渉をしてもらいます。

「解雇通知には就業規則の規定が書かれていました。でも就業規則があるのは、その時初めて知りました」とAさん。もちろん就業規則には傷病休暇がとれることも書いてありますが、会社は働く者の権利を知らせず、解雇のときだけ都合よく就業規則を利用したのです。

交渉をかさねるなかで、会社は「解雇は撤回するが、自主退職をしてほしい。この間の賃金などは払わない」と譲らず、交渉は決裂。5月15日、Aさんは地裁に懲戒解雇の理由はなりたたず、Aさんの傷病は会社がまともな休日を与えなかったり、労働時間を無視して働かせたからであると申立書を提出。解雇の撤回とこの間の賃金の支払いなどを求める訴えを起こしました。今月中には一定の結論が出る予定です。

最近、会社の門前で会社の不当と闘っていることを知らせるビラを配っていたら「Aさんありがとう、頑張って!」と青年労働者から励ましの声がかかりました。社長の目前でのことでした。たった一人のAさんの闘いが、会社中に大きな変化を生みだしつつあることを示すできごとでした。

未来を開くということ
民青同盟県委員長  窪田 拓也さん談

こうした無法なワンマン社長がいることに驚いています。同時にAさんとBさんが手を携えて断固として闘ったことが、仲間たちを勇気づけた。その結果、社長の前にもかかわらず励ましてもらえたのですね。素晴らしい!

中小企業の多くは、激しい受注競争や大手のダンピングに単価切り下げや無理な短期間納期を迫られています。アベノミクスのもとで、ますます大企業の無法が放置、助長されていると思います。この中小企業いじめにたいする闘いも必要です。

AさんやJMIUの闘いは、そのための突破口を開くものだと言っていいと思います。会社経営の困難を打開する方向を、働く人と経営陣がともに腹を割って話し合っていくことが、今こそ一番求められているのではないでしょうか。そのなかで、「悪いことは悪い」「無法は許さない」という気風が作られると思います。

「ともに会社の展望をひらく」ためには、働くものの権利を守り、その意志を代表する労働組合がどうしても必要です。AさんとBさんはこうした闘いの中で、未来を見据え、ともに社会そのものを良くする道を歩き出したと聞いています。

安倍政権の進める暴走ともいえる、労働者、中小企業いじめそのものが、闘う労働者と企業主とを連帯させる条件を作っているといえます。

民青同盟は、青年労働者のなかに蔓延するさまざまな「ブラックな働き方」を一掃するために、ともに学び、展望を語りあい、闘う決意です。

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