ちば民報レポート

保健室の子どもたち19 正月明けの子どもたち

◇養護教諭サークル 中学校 かあべえ

  ちば民報 2015.1.25

「あけおめ」…明けまして、おめでとうございます。

「ことよろ」…今年もよろしくおねがいします。

いつの間にか生徒間の新年の挨拶は「あけおめ」「ことよろ」になった。もちろん私にも「あけおめ」の挨拶だ。何でも短縮してしまうメールの文章は、よく聞いてみないと分からない。「明弁」…明日、お弁当持って行く。「カラ3」…カラオケ3時から。「くたびBやるなし」…くたびれて、勉強やる気でない。何となく分かるが解説が必要になることもたびたびだ。

絵文字も多種多様。「もうやってられないよ」の後の顔文字は口を開けた怒鳴り顔の絵文字。よく考え付くものだと思う。

お正月の過ごし方も以前は、「おもち何個食べたの?」と聞くと、だいたい○個と答えてくれていたが、今は「食べなかった」「おせち料理とか作らないから、いつもと同じ」と答える生徒が多くなり、聞くに聞けない状況だ。

お正月は、おもちを食べる――日本の食文化の伝統である。地方によって、お雑煮の作り方もちがって、それなりの意味があることも学んだ。文化の継承への不安とともに、さびしさがよぎる。

生徒の気持ちを思うと、お年玉についても聞けなくなった。以前は、「お年玉いくらもらったの?」と気楽に聞いていた。田舎のおじいちゃん、おばぁちゃんから、親戚のおじさん、おばさんからもらっていたはずのお年玉が、誰からももらえない生徒がいる。冬休みというのに、どこにも出かけずに、家で過ごしている生徒がいることが分かった。

これも格差社会の厳然たる現われなのだろう。

祖父母も年金暮らしのギリギリの生活で、孫にもお年玉をあげられなくなったのではないか。我が両親の年金額を思い浮かべ、生徒の祖父母の気持ちに思いを馳せた。

日本の子どもの貧困率が6人に1人とテレビで報道されていた。まさに現実になって来ている。

今、中学3年生は、受験を目前に、願書を提出している。公立高校だけを受験する生徒は確実に増加傾向にある。

今までは、たいてい滑り止めで私立高校を受験していた生徒が多かった。しかし、いまは、最初から私立には行けないからと、公立一校しか受けない生徒がどんどん増えている。

ある親が、子どもに言われた。「家にお金がないのに私立に行っていいなんて言わないでよ。無理して行っても、後が続かないなんて嫌だからね。無理しなくていいから、最初から公立一本で受験する」。

「うちの子は、子どもだと思っていたけど、ちゃんと親のこと分かっているんですね…」という、さびしい顔の親の言葉が忘れられない。

せめて親を思う子どもの気持ち、子を思う親の気持ちは変わらないで欲しいと願う新年だ。

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