ちば民報レポート

広範な市民と政党の共同で新しい千葉県をめざしたい

  ちば民報 2017.3.5

知事選予定候補者角谷信一(すみやしんいち)さん

すみや信一さん

3月26日投開票の千葉県知事選に、元県立高校教諭の角谷(すみや)信一さん(62)が、無所属で立候補を表明しました。森田知事を批判する市民団体「新しい知事を選ぶ会.(どっと)ちば」(以下「選ぶ会」)が擁立しました。立候補表明直後に取材を申し込み、快く応えていただきました。

実現したい「3つの夢」

この間、さまざまな市民団体や個人による「選ぶ会」が、基本政策を発表してきました。これに基づき、角谷さんは「3つの夢」、
①受験戦争と貧困で子どもたちが泣くことのない千葉県、
②ブラック企業で苦しむ人や過労死する人のない千葉県、
③高齢者や障害者、病弱者が孤独死する不安のない千葉県
――をめざしたいと語ります。

この会の共同代表は、伊藤真美さん(医師・花の谷クリニック)、関根由紀世さん(ちばレボ)、吉野信次さん(未来を決める千葉の会)、木村忠彦さんと三輪定宣さん(共に千葉大学名誉教授)という多彩な顔ぶれ。会には他に、「安保関連法に反対するママの会@ちば」、「ミナちば」(みんなで千葉から動き出す)、「ちばツブ」(千葉県民呟きメディア)などの団体も参加しています。そして「広範な市民と政党・政治団体が協力し、県民のために働く知事を誕生させたい」としています。

格差生むシステムを変える

角谷さんは大阪の生まれで、実家は家族経営の「お好み焼き屋」。夏休みは、小麦を練る仕事を毎日「嫌々」やっていたそうです。後継ぎ息子でしたが、休みが取れないこの仕事が嫌でしようがありませんでした。子ども時代は、「無口で引っ込み思案」な少年でした。小学生時代は幸せでしたが、中学に入って地獄をみた気がしました。それは、荒れた中学校での暴力・イジメと受験戦争です。出稼ぎ者が多い学区の中学に入った角谷さんは、貧困と格差で荒れた子どもたちのイジメの中に巻き込まれてしまいます。殴られるのは茶飯事、授業中でも後ろから画鋲が飛んできました。角谷さんは、貧困な子は精神的な愛情不足で「自分が大切にされていない」との不満から、弱い者いじめに向かう悪循環に気付きます。

70年に、角谷さんは大阪工業高等専門学校電気工学科に入学します。高専を選んだのは、理数科が得意だったことと電気自動車の研究をしたかったから。それは、当時の大阪の大問題が「大気汚染」だったことが大きな動機です。さらに、1回の受験で5年間学べることでした。それほど当時の受験戦争は、中学生だった角谷さんには酷なものだったのです。高専に入って、2年間は寮生活でしたが、ここでも上級生による「しめつけ」という暴力に出会いました。

せっかく入った高専でしたが、角谷さんは3年(高卒資格は取得)で辞めてしまいます。そのキッカケは、高専の文化祭のテーマ館の展示で「高専の歴史」を調べたことで、高専が産業界の要請で作られたことを知りました。一般教養や芸術の授業が少なく、技術力を身につけることに重点が置かれており、高専は「人間教育の場ではないのでは」と疑問を持ったのです。

角谷さんは悩みました。「自分の立ち位置を知るには、歴史の勉強が必要」と、大学受験を決意。1年間の予備校通いの末、立命館大学一部文学部史学科(日本史学)に入学しました。

79年、大学卒業と同時に、千葉県立国府台高校の社会科教諭となりました。千葉県に来たのは、他の県が全て落ちたからでした。でも、以後38年間お世話になったことに感謝しているとのこと。その恩返しに残りの人生を尽くしたいと、今回の知事候補を引き受けたのです。

ところで、角谷さんの卒業論文のテーマは、「複線型学校体系の過去・現在・未来」でした。これまでの学校制度が格差を生み出すシステムになっている。これを直さなければ幸せな社会を築けないという内容でした。これが、考え方の原点になりました。

だから、森田県政のいいかげんな教育行政に怒りが湧くのです。「学校を通じて格差社会を再生産していくシステムを作り替えたい」との思いは強いものでした。角谷さんは、「高校は平等に入れて、そこから進路が決められる制度にしたい」と言います。知事の姿勢がかわればそれは出来るのです。

事実、角谷さんは、高専時代には公害規制に取り組んだ黒田大阪革新府政や、立命館在学当時には、「十五の春は泣かせない」と、受験戦争を緩和し広く中等教育の門戸を開いた、蜷川京都革新府政を目の前で見てきたのです。その頃から知事の役割には大きな関心を持っていました。

子どもたちの心受け止めて

38年間教壇に立ってきて印象に残っていることは、生徒会顧問をしていて生徒が団結して事に当たる姿を見たことでした。

1つは、インフルエンザを理由に文化祭が突然中止されたとき、生徒が「おかしい」「青春を奪うな」と校長に訴え、「参加者が保護者だけならOK」の返事を引き出したこと。

2つは、38数度の猛暑の年に「授業どころではない。エアコンを入れてほしい」と森田知事に生徒会が要請したことです。涼しくなった頃、教育委員会から、「今後どうするか検討中」と返事がきました。生徒たちは「検討していたら卒業してしまう」と不満はおさまりません。その後、県は「保護者会費で導入するならいい」ということになり、保護者負担で県下107校にエアコンが設置されました。しかし残り25校は経済的に保護者が負担しきれず、現在も設置されていません。こんなところにも財政力は全国4位なのに公立高等学校費は46位(生徒1人当たり)の県の実態のなかで、学校間による教育格差があったのです。

3つは、3年生の「総合学習」の時間に、生徒が就職した時のためにと「労働基準法」に取組んだ時、ブラックバイトをしている多くの生徒がいて授業に食い付いてきたこと。次々と質問してきて、その質問は授業が終わった後でも続いたことです。ここに、高校生が置かれている切実な現実がありました。

角谷さんは特にやりたいこととして、「受験なしの高校義務化」で「全国一、中学生に負担のない千葉県」を実現したいと言います。現在の千葉県は、全国で唯一「5教科」の入試(2度ある)を行っていて、1回目でなんと44%を落とします。落とされた中学生の苦しみは、「心のケア」が必要な程深刻であることを行政はまったく理解していない、と声を高めます。

角谷さんの家族は、妻と要介護2(日常生活動作にも介護が必要な状態)の88歳の実母と3人。母親は角谷さんと姉妹で交互に介護していましたが、お互いが「もうダメ」と泣くほどの状態になりました。そんな介護をする家族と、高齢者の気持ちをしっかり受け止め、解決の道を進む県政にしたいと思っています。

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