4割の青年が払えない国民健康保険  
県社保協 国保の改善めざし学習会

ちば民報 2012.11.17

学習会会場のようす、丸山県議がマイクを持って講演

いま「国保料が高すぎて払えない」「生活実態を無視した差し押さえがやられている」などの声が県内各地であがっている。この深刻な事態を受けて国保改善運動学習交流会(主催・社会保障推進千葉県協議会)が11月17日、千葉市で開かれ、県下から40人あまりの議員や生活と健康を守る活動に取り組む方々が参加し、国保の現状と課題などを学んだ。

所得が減るのに

講演した丸山慎一県会議員は、国保の現状と今後の展望について語った。

所得が減っているのに保険料が高くなり、結果として滞納が増えている実態がある。これにたいして自治体は保険証をとりあげ、代わりに窓口で医療費をいったん全額払わなくてはならない資格証明書を出すなどの制裁措置をおこなっている。

近年はそのうえに、差押さえによる取り立てをおこない、その件数は22年度の約6000件から昨年度には8303件にものぼった。そのことを報じたマスコミは、あたかも各自治体の「成果」のように報道し、その強化をあおる。

ところで国保料を払えない人は、国の資料では25歳未満で4割近く、25~34歳未満で3割近くもいる。これらの原因は大きく見れば、①国保への国庫支出の割合が1980年の57%から30年間に25・6%へと半分以下に下げられたこと、②県の単独補助も2008年以降全くなくなったことだ。その結果、市町村の一般会計から国保会計への繰入れがふえ、95年度2916億円から09年度には3592億円と増えた。

そのため、多くの自治体で払いきれないほど高額な保険料となり、滞納も増える結果を生んだ。

広域化のねらい

この国保財政の危機に対して国は、自らの責任は脇において、2010年に「国保広域化」を打ち出す。その柱はまず、「保険料の引上げ、収納率の向上、医療費適正化の推進」によって国保会計の赤字をなくすことだ。ちなみに「医療費適正化」とは、医者にかかりにくくすること。また、今まで収納率が低い市町村にペナルティーとして交付金を減らしていたが、広域化すれば減らさないとしてこれを進めた。

もう一つの柱は都道府県の権限強化だ。国保を運営するのは市町村だが、収納率対策や広域化については県が提案し、市町村に実施を迫ることとなった。

今年4月の法改正による具体的な実行策の大きな問題点は、①医療費実績を抑えた自治体の拠出額は少なくていいとし、②国からの特別調整交付金の割合を増やした。千葉県ではこれを36億円から100億円にして、差押さえなどの“実績”が多い市町村に交付金を多くおろすこととなった。

県単位への広域化は、市町村同士で支援しあうことを目的としている。しかし国保会計は、もともとどこも大変な困難に陥っているので、支援などしようがない。結果としては、市町村同士が「隣の市はまだ収納率がよくない」と、監視しあう環境をつくるのではないか。住民の立場から国保料を低く抑えている市町村を、高い保険料にあわせることにならないか。

相互扶助ではない

広域化では問題は解決しない。ことの本質は公的保険の縮小と民間保険の拡大という財界方針だ。

丸山氏は、展望をひらく基本は「84年から大幅に削られた国の負担割合をもとに戻すこと」とし、市町村に求められるのは、保険証の取り上げをやめ、窓口負担の軽減を行うことが必要だと語った。そのためにも、意図的に行われている住民間の分断に反撃して、運動と世論の力で打開することの大切さを訴えた。

吉川恵子県社保協事務局次長は、自治体を訪問して取り組んだ要請行動を報告。県内の滞納世帯の84%が平均年収200万円以下で、正規の保険証があっても高額な窓口負担に絶えられず4割もが治療を中断していると報告した。少なくない自治体で、国保は「相互扶助」、「滞納は自己責任」という言葉が普通に語られる実態に、権利としての国保のあり方を自治体職員とともに考えていきたいと語った。

また各地の取り組みでも、広域化や制裁強化では問題は何も解決しないし、さらに問題を深刻にしてしまうことが報告された。

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