県地域防災計画(修正)についての申し入れ

2012年8月18日 日本共産党千葉県委員会

千葉県が2月に基本方針を示し関係機関の意見を加え、今月6日に決定した「県地域防災計画(修正)」について、日本共産党千葉県委員会と同県議団が10日、県民の命と財産を守る実効ある計画となるよう森田健作知事あてに申し入れました。石渡哲彦副知事、吉田雅一防災危機管理部長らが応対しました。

石渡副知事らに申し入れ書を手渡す加藤英雄、岡田幸子、丸山慎一、小松実各県議、浮揚幸裕県委員長

石渡副知事(右から3人目)らに申し入れ書を手渡す(左から)加藤英雄、岡田幸子、丸山慎一、小松実各県議、浮揚幸裕県委員長

「修正」は「大規模事故編」に含まれていた「放射性物質事故編」と「公共交通等事故編」を独立させ、全体を6編としました。地域防災力の向上、津波や液状化、要援護者への対策、放射性物質事故対策など8点の重点項目を提示。この「修正」をもとに各市町村が防災計画を作り、災害に備える予定です。

冒頭、浮揚幸裕党県委員長が防災対策の基本方向として「これまでの応急的・復旧的対策では未曾有の被害規模に対処できない。震災の教訓を生かし、災害発生を予防し抑制する事前対策へと転換する必要がある」と強調。不安定地盤地区の開発、密集市街地の都市構造、無秩序開発などの土地利用の適正な規制・誘導が必要だと述べました。

党県議らは、津波対策では「住民等の避難誘導」にあたる消防職員の充足率が7割程度、市町村職員も削減され出先機関の業務委託が増えていることを史的。液状化対策では、堤防、護岸、水門などの危険箇所の住民への周知や、対策の進捗状況の明確化、コンビナート事業者への強力な指導、企業庁・県による埋め立て地の民間住宅への責任ある措置などを要求。福祉避難所の耐震化や備蓄などの支援も求めました。

放射性物質事故については、とりわけ横須賀の米海軍原子力艦事故対策の必要性を強調。この「修正」実効性を確保することを強く求めました。

石渡副知事は「重要な提言であり実効性の担保は、まさにその通り」と共通の認識を示しました。


千葉県地域防災計画(修正)についての申し入れ

千葉県知事 森田健作 様

2012年8月10日 日本共産党千葉県委員会 日本共産党千葉県議会議員団

千葉県は、本年2月の千葉県防災会議で決定した「千葉県地域防災計画修正の基本方針」に基づき、また、防災関係機関からの意見をふまえ、8月6日の千葉県防災会議において「千葉県地域防災計画(修正)」を決定した。 日本共産党は、県内においても津波、液状化など甚大な被害をもたらした東日本大震災の教訓を十分にふまえ、県民の命と財産を守る実効ある「千葉県地域防災計画」となるよう、以下の事項を申し入れる次第です。

一、防災対策の基本的な方向性について

1.防災対策の重点を応急的・復旧的対策から予防的防災の重視へ転換すること。

①2011年3・11東日本大震災の教訓から、これまでの応急的な対策中心では、未曽有の被害規模に対処できないことが明らかとなった。震災の教訓を生かし、災害発生を予防し、抑制する事前対策へと転換する必要がある。

②不安定地盤地区の開発抑制、密集市街地の都市構造の改善、無秩序開発の抑制など土地利用を防災面から適正に規制、誘導することが重要である。また、重要施設の立地の再検討や、すでに建設されている施設の液状化対策、耐震化等、部局横断的な施策の推進が必要である。

2.基幹的防災インフラ施設中心から地域コミュニティーの防災性向上へ転換すること。

広域避難地の確保や幹線道路整備、沿道の不燃化から、住宅や事業所の耐震化、生活道路、オープンスペースの確保、学校、病院、福祉施設等の生活基盤施設の安全化など地域防災を重視すること。

3.「自助・共助」の思想から脱却し、「住民の生命・身体・財産を災害から守る」という行政の責務を明確にすること。

①災害対策基本法にある「国土並びに国民の生命・身体および財産を災害から保護する」という災害対策の目的を達成できるものとすること

②高齢化、過疎地域での人口減少等「地域の脆弱化」が指摘されているところでの安全な地域づくりを進めること。

二、主な「修正事項」について

1.「地域防災力」の向上について(総‐2‐1)

①教育・訓練・人材育成に力点が置かれていること自体は重要であるが、災害予防の観点から土地利用を含めた「災害に強い地域づくり」の取り組みなどについては、不十分である

②「修正の基本方針」に、「県民の安全・安心を守るためにとりうる手段を尽くし」とある。そのことからも「災害に強い地域づくり」に全庁的な立場から臨むこと。

2.「津波対策の強化・推進」について

①「震災編」を「地震・津波編」とし、避難を軸としたソフト面、海岸保全施設の整備等ハード両面を組み合わせた総合的対策としたことや、「津波浸水予測図」を作成したことは当然である。

②「防災施設の点検、診断、改修及び補強」(地‐2‐18)において、「防潮堤等の防災施設は、ほとんどが高潮を対象」としている。また、建設年次の古い施設の老朽化等が指摘されているにもかかわらず、その対策は、点検および耐震診断に限定されている。「随時、必要な改修・補強を行なう」と、改めること。

③「津波避難ビル等の指定・整備」(地‐2‐19)において、市町村に努力を求めているが、市町村任せにせず、県としても支援すること。

④「住民等の避難誘導」(地‐3‐41)において、消防職団員や市町村職員等があたることになるが、消防職員の充足率は、7割程度であり、消防団員の減少も課題となっている。市町村では、職員の定数削減が行なわれており、出先機関での業務委託も増えている。これらの課題に対する対処方向を明確にすること。

⑤「津波浸水予測図」において、千葉県が想定する津波高と湾岸の神奈川県や東京都などの予測が違っている。その整合性について調整すること。

⑥津波被害の想定にあたっては、東日本大震災の被害状況をふまえるとともに、最新の知見を取り入れたものとすること。

3.「液状化対策の推進」について

①「液状化しやすさマップ」の作成、ライフラインや道路、橋梁等の耐震化、液状化対策の推進は当然であるが、その実効性を担保すること。

②「河川・海岸」(地‐2‐48)において、堤防、護岸、水門等を点検し、「危険度の高い箇所より順次液状化対策等を実施している」としているが、危険個所の住民への周知および「いつまでにどの程度の対策を実施するのか」を明らかにすること。

③コンビナートの敷地、護岸等についても、事業所任せでは進まない。県として強力に指導すること。

④民間住宅(地‐2‐48)については、「液状化対策工法の広報・周知」に限定しているが、これでは対策とはならない。少なくとも、企業庁・県が埋め立てた地域は、責任ある措置を講じること。

4.「災害時要援護者等の対策の推進」(地‐2‐56)について

①「福祉避難所の整備や指定」は、市町村が行なうことになっているが、県としても支援すること。

②福祉避難所ともなる社会福祉施設等における施設の安全性について、施設の管理者等の努力任せでなく、県として、耐震化、備蓄等の支援を行なうこと。

5.「帰宅困難者等対策の推進」(地‐2‐70)について

「企業、学校などにおける施設内待機」の飲料水、食糧、毛布などの備蓄は、学校においては「家庭や地域と連携して準備に努める」となっている。県立学校は県が、市町村立学校は市町村が責任をもつこと。

6.「庁内体制の強化」(地‐2‐73)について

「職員の参集予測」では、発災3時間後で480人(15%)となっているが、災害対策本部事務局体制が機能するか、危惧される。対策を検討すること。

7.放射性物質事故編について

①放射性物質事故の想定「原子力艦」の事故(放‐2‐1)において、「地震、津波、火災、人為的ミス等」による事故が想定されている。それぞれの被害様相は異なっており、それぞれ対策を検討すること。

②応急策(放‐4-1)として、「国や事故の所在都道府県などから情報収集を迅速に行う」だけとなっており、これでは緊急時に県民の「生命・身体」を保護することはできない。

③「避難誘導体制および訓練」(放‐3‐2)において、避難誘導体制は市町村が、訓練は県および市町村が行なうことになっている。原子力艦による事故についても避難誘導体制の整備、避難訓練を実施すること。

④「通報体制の整備」(放‐3-3)において、「核燃料物質使用事業所の事業者は、放射性物質事故が発生又は発生する恐れが生じた場合」「県及び国に対する通報連絡体制を整備する」とあるが、コスモ石油爆発事故の際、チッソ石油化学は、劣化ウラン保管倉庫が延焼しているにもかかわらず、通報していなかったことが判明している。既定の実効性を確保すること。

三、その他の関連事項について

1.耐震化について

①阪神淡路大震災では、住宅の倒壊により5000人以上が犠牲となった。民間住宅の耐震化促進の具体策を講じること。

②避難施設、救護・救援施設、社会福祉施設、老人保健施設、百貨店、劇場、映画館など「緊急性の高い施設」の耐震化(地‐2‐33)について、「データベース等を活用し、耐震改修等の進捗管理に努める」としているが、その実効性を担保すること。

③市町村立学校の耐震化について、「市町村への働きかけ」にとどまらず、県として支援措置を講じること。

④「災害拠点病院の耐震化」(地‐2‐34)への支援は当然であるが、すべての病院の耐震化が早期に完了するよう、県として支援すること。

⑤「家具、大型家電の転倒防止対策の重要性を啓発する」(地‐2‐34)とあるが、補助制度を創設している市町村がある。県としても支援を行なうこと。

2.火災等予防対策について

市町村の「消防体制及び消防施設の整備を拡充するための財政支援を行なっていく」(地‐2‐24)としている。この間、減少傾向を続けている市町村への「消防施設強化事業補助」を増額し、消防職員をはじめ、消防力の充足率向上に全力をあげて取り組むこと。

3.「調査・研究」に関するコンビナート事業所への指導について

「液状化―流動化に関する調査研究」(地‐2‐13)において、「詳細なメカニズムを解明し、効果的な液状化―流動化対策の基礎資料とし、結果を提供していく」とある。コンビナート地域のデータについては、研究者でさえ入手できず、効果的な対策確立の障害となっており、コンビナート事業所に対して、毅然とした強力な指導を行なうこと。

四、実効性を確保するために

1.今回、修正した「千葉県地域防災計画」の進捗状況を日常的に検証し、促進するための体制を構築すること。

2.「千葉県地域防災計画」の見直しに伴い、「千葉県地震防災戦略」も見直さざるを得ない。被害の削減量、軽減目標を明確にし、それに必要な対策の内容、数量を見積り、費用対効果も勘案しつつ、達成期間を定めて対策を進めること。

3.「千葉県地域防災計画修正」には、応急対策を中心に網羅的に記述されているが、その実効性が問われている。実効性を担保するとともに、災害を未然に防ぐ予防対策を確実に前進させていくために、全庁の施策の根底に防災の視点を据え、その実行に防災危機管理部が強力なリーダーシップを発揮すること。

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